妹の友達(小5)が『清楚系ビッチ系清楚』のくせに、誘惑してきて困る

或木あんた

第1話 俺の妹の友達が清楚系ビッチな件。


 俺には小五の妹がいる。


 その妹のクラスメイトが、最近よく家に遊びに来るんだが……。



「ぶあくしょんッ!」


「ひゃうんッ!?」


 リビングで豪快なくしゃみをかましたのが、妹、結衣ゆい。トレードマークのショートボブを揺らしつつ、豪快に鼻をすする。その間近で、ソファから飛び上がって女の子のような悲鳴を上げたのが、俺、小方勇弥おがたゆうや(高1)だ。



「あ、ごめんおにぃ」


「結衣! 耳の近くは気をつけろと、あれほど!」


「あははー、うっかりうっかりー。耳弱いもんねー。じゃあ、結衣、ちょっとトイレ行ってくるから!」


 足早に去る妹へ、俺はため息をつく。結衣の言う通り、俺は昔から耳が繊細だ。第二の性感帯と言っても過言じゃない。だから、無意識に人を避け、一定の距離間を守ってきた。守ってきたはずだった。



 ――この小学生と出会うまでは。



「……お兄さん」


「!」


 視線を上げると、ほほ笑む美少女と目が合った。西川にしかわほのか、齢十歳。品の良いつやつやした黒髪ロング。ひざ丈のノースリーブワンピースから覗く、透き通る肌。大きな瞳と均整の取れた小さな顔。平均的な身長の俺よりも二十センチは低く、細身の童女体型である。いうても、手も足もすらっとしてて、死ぬほどスタイルがいいんだけど。


 見れば見るほど清楚の言葉が似あう美少女だ。小学生ながら、大人びた印象すら感じられる。けど。


 彼女の瞳の奥が、うっすらと輝いて、


「ふぅん……?」


 少し鼻にかかった声で低く呟き、あっという間に背もたれの背後を取られた。


「……え、……ちょッ?」


 俺の肩に寄りかかるように密着し、首筋に吐息がかかる。……そして、



『ふー、すぅぅ、 ……おにぃー、さぁん……♡』


「……!」


 ひそひそと掠れたロリのささやきが、熱い温度と共に耳元へ注ぎこまれた。



『……お耳、……弱いん……ですかぁ?』


「……ファあッ!」



 そう。この子は小学生でありながら、俺を誘惑してくる、清楚系ビッチなのだ。

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