第2話

 ◆ 再び意識を取り戻した時、そこは先程いた場所とは全く違うところであった。

どうやらここは森の中らしい。

周りを見渡すと、木や草花などがたくさん生えていた。

ふむ、これはおそらくだが……森の奥深くにある小さな村みたいな感じの場所なのかな? 俺は少しだけ歩いてみることにした。

しばらく歩いていると、村の入口らしきものが見えてきた。

おぉ、やっぱりここが目的地だったみたいだな。

それにしても結構小さい村だな……。

建物は全部で3つしかないようだし……。

これでは宿屋どころか民家すらあるかどうか怪しいぞ……。

一応、近くに行って確認してみるか。

「すみませ〜ん!!誰かいますか〜!!!」

大声で叫んでみたが反応はない。

う〜ん、誰もいないのか……。

しょうがない、とりあえず家に入って色々と調べて見るか。俺は一番近くにある家の扉に手をかけた。

「んっ?鍵かかってない?」

おかしいな、普通こういう場合は中に人がいても良いと思うんだが……。

「失礼しまーす……」

恐る恐る中に入るとそこには誰もいなかった。

あれっ?本当に誰もいない……。

「すいません〜」

大きな声を出して呼んで見たがやはり返事はなかった。

「しょうがない、次に行くとするか……」

次の家はしっかりと施錠されていたので中には入れなかった。

最後の建物には窓が無かったため、外から中の様子がわからなかった。

仕方ないのでノックをしてみることにした。

コンコン

「すいませーん!!誰かいまs……って危ねぇ!!!」

いきなりドアから斧が飛んできたので慌てて避けた。

「くそっ!何だってんだよ一体!!」

俺は急いでその場から離れた。

「おい!そこにいる奴出てこい!!」

建物の方に向かって叫んだ。

すると建物の屋根の上に何者かが現れた。

「フッハッハ!よく今のを避けたな。流石は俺様の作った武器だぜ」

男は高笑いしながらそう言った。

こいつは何者なんだ?明らかに人間じゃないし……。

「お前は誰だ?どうして俺を攻撃してくる?」

とりあえず質問を投げかけてみた。

「ほう、俺様に攻撃を仕掛けられて生きているとは……。なかなかやるではないか。よし、ならば教えてやろう。俺の名はポパピポッパ、魔王帝国騎兵軍四天王の一人にしてこの村を守る守護者だ!」

なに?魔王帝国騎兵軍だと!?そんな馬鹿な……それじゃあここは異世界だというのか!?いや、でも確かにさっきステータスを確認した時はそんなことを言っていたような気がする……。

「その様子じゃあ驚いてるみてぇだな!まぁ無理もないさ、なんせ俺は今から貴様を殺すつもりだからな!覚悟は出来てるかい!?」

彼は手に持っていた槍を構えた。

「いや、全然」

俺は即答した。

「えっ……?」

「いや、そもそもなんで殺されないといけないのかわかんないし。理由も言わずに襲いかかってくるとか、正直迷惑だよ」

「い、いや……えっと……そ、そうだよね!うん、ごめんなさい!!」

「おっ?素直に謝れるなんて偉いな。ところで君はどこから来たの?」

「えっ?えっと……それは……言えない……」

「そっか……。まぁ言いたくないなら別に良いけどね。それで、君はここで何をしていたのかな?」

「えっと……あの……その……実は……迷子になって……。気づいたらここにいたんです……」

なに!?迷子になっていただと!?

「そうなの!?じゃあ君のこと村まで送っていくよ!」

「本当ですか!?ありがとうございます!!」

よし!これでやっとこの世界について知ることが出来るぞ!!

「それじゃあ村へ向かおうか」

「はい、わかりました!あっそうだ、私ちょっと準備してくるので待っていてください!」

「わかったよ。それじゃあ外で待っているから」

俺は彼女に背を向けた。

「はい!すぐ戻りますので少々お待ち下さい!!」

そして俺は彼女の言葉を信じて待つことにした。

10分後………………遅いな……。

もう30分以上経っているのだが……。

俺は少し不安になりつつも彼女を待っていた。

さらに10分後

「すみません!!お待たせしました!」

彼女が戻ってきた。

「随分と遅かったね……。何かあったのか?」

「いえ、それが……途中で道が塞がれてしまって……」

「んっ?どういうことだ?」

「実は……」

俺は彼女に連れられて村の入口付近まで行った。

「これは……どうなってんだ?」

そこには巨大な岩が置いてあり、行く手を阻んでいた。

「はい……。おそらくですが、誰かが魔法を使ってやったのだと思います」

「なるほどな……。ちなみにだが、他に村へ行く方法はないのか?」

「残念ながらありません……。一応他の出口を探してみたのですが、全て塞がれていました……」

「マジか……」

つまりこの村から出るためには目の前にあるこの大岩をどうにかしなければならないということなのか……。

「んっ?そういえば君の名前は?」

「私は……イーリンと言います……」

「イーリンちゃんか。可愛い名前だね。俺はタクマっていうんだ。よろしくな」

「タクマさんですね!こちらこそよろしくお願いします!!」

こうして俺とリンはお互いの名前を知ったのであった。

「とりあえずこの岩を破壊するしかなさそうだが、どうやって壊せばいいと思う?」

「う〜ん……そう言われても困りますね……。私、魔法のことは詳しくないので……」

「う〜む……じゃあとりあえずこの岩の硬さを確かめてみるか。どれくらい硬いのだろう……」

俺は剣を取り出して岩に斬りかかった。

ガキンッ

「うわっ!?」

凄まじい衝撃が腕に伝わってきたため、思わず手を引っ込めてしまった。

「大丈夫ですか!?」

「あぁ……なんとかな……。しかし……まさかここまでとは思わなかったぜ……」

もう一度試してみるか……。今度はもう少し力を込めて斬ってみよう。

俺は再び岩に切りつけた。

ザシュッ

「よし!これ……って嘘だろ!?」

なんと、先程よりも深く傷がついているものの、切断するまでには至らなかった。

「一体何なんだよこいつは……」

「もしかしたら……ゴーレムかもしれません……」

「なに?ゴーレムだと?」

「はい……。昔読んだことがあるんです。魔力によって生み出された人形のことをゴーレムと呼ぶって」

「そうだったのか……」

もしそうならばこいつは魔法で作られた存在ということになるな……。ならば弱点も普通の魔物とは違うはず……。

「確かゴーレムには核と呼ばれる部分があるはずだ。そこを破壊すれば倒せるかもしれない。とりあえずやってみるか……」

俺は目を閉じて精神統一をした。

「おい、危ないから下がっていろ」

「はい……気をつけてくださいね!」

彼女は俺の言葉に従って後ろへと下がった。

「いくぞ!!」

俺は目を見開いて勢いよく飛び出した。そしてそのまま一気に距離を詰めて、渾身の一撃を叩き込んだ。

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