第2話 むつごすぎる朝
いつもより少し遅めに家から出た俺は、少し早歩きで学校へと向かっていた。
「おーはーよっ!!」
朝から相手にするには少しむつごいテンションで後ろから体当たりされた。いや、朝じゃなくてもむつごいけれど。
後ろを向く前に誰か分かった。俺が知っている奴でこんなことを朝からするのは1人だけだ。
「相変わらず、朝からテンション高いな。悠。」
そう。こいつは、小田悠おだゆう。俺の保育園からの腐れ縁。幼なじみだ。
肩よりちょっと高めの髪の長さで、容姿は人並み以上だ。でも、ラノベなどでよくある幼なじみにドキッとすることなんて絶対にない。兄妹みたいな感覚なのかもしれない。
「あゆくんがテンション低いだけだよー! 朝ごはんしっかり食べた?顔色悪いよ?」
「食べた。食べた。紗知が作ってくれた料理を食べないわけないだろ。」
「相変わらず、シスコンだねぇ〜」
断じて違う。はず。
こうして、朝っぱらからのむつごさに耐えながら登校をして、ようやく学校に着いた。偶然か必然か、悠とは小学生からいままでクラスがずっと一緒だ。腐れ縁。こわい。
教室に入ると、それと同時に予鈴がなった。さっさと席に座ってスマホを取り出す。
Twtkterツッタカターで、今週のアニメ最新話の感想を呟かなくてはならない。それが俺の使命である。
コツンとだれかがおれのあたまを軽く叩く。
「またアニメの感想ですかぁ? 二次オタは辛いねぇ〜」
クラスで唯一の男友達。東雲隆也しののめたかやが呆れた声で俺に言った。
「俺にとってアニメは呼吸に等しいんだ! それに、陽キャ共みたく、つまらない遊びをしているより、趣味に没頭している俺の方が何倍も有意義な生き方をしていると思うね。」
「でもよぉ〜。16にもなって彼女の1人も出来たことないんだろー?」
「俺には2次元の嫁がいる。それ以上に何を求める。」
隆也はとても顔立ちが整っている。なんで俺と関わっているのか分からないくらいの容姿、心、共にイケメンだ。
彼女なんて作るのには苦労しないんだろうな。と思う。
率直に悔しい。
そんなこんなで隆也と話していると、本鈴が鳴った。
「席についてー。ホームルーム始めるわよ。」
うちのクラスの担任が来た。教師とは思えないほど美人でセクシー。モデルって言われても疑わないレベルだ。
お姉さん的振る舞いにクラスの男子は皆、デレデレだ。
まあ俺は、ロリ派だけど。
「今日は転校生が来ています。」
俺はそういうのにあまり興味がなかったため、机にうつ伏せになり、寝たフリをすることにした。
教室の扉が開くと同時に、クラスの皆の歓声が響き渡った。
ちょっとビックリしたし、気になったのでチラッとだけ見てみた。
ん?何故か、既視感があった。
目をこすってよく見てみると…
「ええええええええええ!!」
俺は今まで出したことの無いような声で、椅子から飛び起きた。
この子……まさか…
こうして、むつごすぎる朝を迎えたのであった。
俺と彼女と幼なじみ @urohaaaaado117
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