loop 3: 接触せよ
目を覚ますと、またベッドにいた。
先ほどのこともあり、少し冷静になった。
よく考えてみれば、ヒロインが絞殺されるエンドは【ED13 : 罪の解放】である。本来は違うイベントで起きるはずだが、ここで発生した。
と考えると、私が起こす行動は必ずどこかのエンディングに繋がっているということだ。
つまり私がどう足掻いても、何かしら既存のエンディングを迎えることになる。
おそらくこのループは、正規のエンディング、すなわちエンドロールを流さない限りは続くのかもしれない。ならば、なんとしてでもハッピーエンドを迎えなければ!
そう思ったら、先程の5ヶ月をなんとしても乗り越えてやろうと思った。
ただ、少し方法は変えてみる。
それは【他の攻略対象のハッピーエンドを迎えること】だ。
どう考えても、カネミは地雷が多い。であれば、地雷が少なく、比較的難しくないキャラでゴールするしかない。
幸いにも、ここはまだ攻略対象分岐前だ。
その作戦を立てた結果、私が選んだ相手は【ナル】である。彼は比較的バッドエンドが少ない。それでいて常識人なので、こちらからヒロインに寄せていかなくても大丈夫そう。
そうと決まったら、私はなんとかこのイベントを成功させ、あとの共通イベントを全てナルに捧げた。
それに伴い、ナルの個別イベントを発生させてそこも程なく達成する。やはり、地雷イベントが少なく、私の心的にも安心だった。
運命の日がやってきた。
個人ルート分岐が決まるシーンである。
私はやれるだけのことはしたし、後はこの扉の先にナルがいて、この後の個人ルートを淡々とクリアしていけば良い。
扉を開けた。
「まさか、僕を選んでくれるなんて!」
ナルがいた。計画通り。
「うん。私もナルと一緒が良かった」
そういって彼に駆け寄った。
「…ごめんね」
そんな声が聞こえた。よくみるとナルは涙を流していた。
「どうやら僕たちはこれまでみたい…」
「何を言っているの?」
そう言って辺りを見渡すと、辺りにこの世界の住民がいた。血相を変えて、今にも飛びかかってきそうだ。
彼はある秘密を抱えていて、その関係から住民と一悶着ある設定なのだが、それは個別ルートからのお話のはず。
「そいつらは俺たちの国を破滅させようとしている!殺してしまえ!」
それを合図に、人々は武器を持って私たちを襲ってきた。
なぜ?私は何か選択を間違えたのか。
待って…
もし彼のイベントを全回収できていなかったとしたら?
彼のイベントは、あのベッドより前にもある。
私はそれ以降のイベントは回収したけど、それより前のイベントを回収できているかはわからない。それが抜けていたことによって、このエンドを迎えているのだとしたら…
ナルは住民の攻撃から私を庇った。その攻撃を受けた後も、彼は「ごめんなさい。騙していて、ごめんなさい」と言い続けた。
誤解なのに。住民は勘違いをしていただけなのに。その誤解を解かなくちゃ!
そう思って立ち上がった瞬間、何かで腹部を刺された。
ナルの叫び声とともに、私はその場に崩れおちた。
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