第4話 メイド服
「そうだ! 新しいミッションのお祝いに、メイにカジ用の服をプレゼントするよ」
「えっ? 鍛冶用の服?」
「それっ!!」
イナリがメイの頭の上でくるりと回転すると、メイの服が光輝きメイド服に変わりました。
「えっと、これメイド服よね?」
「カジをするなら、この服だよね」
「え!? なんか違くない!? 『カジ』違いじゃないの!?」
「いいから、いいから。ちなみにダンジョンから出ると元の服に戻るよ」
「えっと、もう一度ダンジョンに入るとどうなるの?」
「もちろん、入った瞬間この服に変わるよ。すごいでしょ」
メイは頭を抱えてしまいました。元に戻して欲しいと頼んでも、イナリはどうして?と頭にハテナを浮かべて聞いてくれませんでした。
メイは諦めて、メイド服でナイフを鍛えることにしました。
今まで倒したゴブリンや角兎の魔石は、ほとんどハンターギルドで売ってしまったので、魔物を倒して魔石も砕く、そんな作業を繰り返します。
そして、とうとう最高品質のナイフが出来上がりました。
「やっと最高品質のナイフが出来上がったわ!」
「おめでとう!」
「今まで作って来たナイフの中で一番の出来よ」
「そりゃぁ、最高品質だからね」
「でも、魔物を倒して鍛えたのよね。なんだか狐につままれた気分だわ」
「こうかい?」
「痛たたた……。夢じゃないのね」
「メイは、大げさだなぁ」
イナリに頬をつままれて、痛みで夢ではないと悟ると、メイは嬉しそうな顔をみせるのでした。
それからメイは最高品質のナイフを鍛え上げることに注力しました。数日かけて、5本のナイフを鍛え上げて取引先へと向かいました。
取引先の商会長は、さらに向上した品質に驚きましたが、喜んで受領してくれました。そして、メイに鍛冶コンクールへ出品してはどうかと提案してくれました。
商会長から渡された鍛冶コンクールの案内書には、その詳細が掛かれていました。主催は領主で、剣、槍、盾の3部門があり、プロアマ問わず無名の鍛冶職人や見習い職人でも受け付けると書いてあります。
「残念だわ。私はナイフしか作れないのよね……」
「頑張って練度を上げれば、普通に剣とか作れるようになるよ」
「本当!? じゃぁ、コンクールに出品できるのかしら?」
「メイの頑張り次第だよ」
「そうなのね、頑張るわ!」
「応援するよ」
コンクールに出品するという目標が出来たメイは、イナリと共に、張り切って練度向上に励むのでした。
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