第2話 おかしな武器の鍛え方

「さて、君が作ったはあるかい?」

「ナイフならあるわ」


「よし、早速、画面に登録してみよう」

「えっと、たしかこうやって……」


 鍛冶場へやってきたメイ達は、イナリの指示で、メイが作ったナイフを例の画面へ登録しました。


「えっと、『ナイフ;並品質』……」

「それじゃぁ――」

「ちょっと待って! 並品質って書いてあるわ!?」


 メイは登録された画面を声に出して確認すると、イナリの言葉を遮って、声も裏返らんばかりに叫びました。


「並品質って、普通の品質のことだよ」

「そうね、いや、そうじゃないわよ! 品質が表示されるって、どういうこと!?」


「それは腕輪の機能だよ。いわゆる品質鑑定ってやつさ」

「目利きに使えるんじゃないかしら? 商売人が血眼になって欲しがるわ」


「品質が分かるのはメイが作った物だけだよ。そもそもメイが作った物しか登録出来ないし、登録しなくちゃ鑑定できないからね」

「そうなの? ちょっと残念な気もするけど、仕方がないわね」


 メイは品質鑑定が出来ることに驚いたようですが、自分の作品じゃないとダメだと知ると、落ち着きを取り戻したようです。


「それじゃぁ、次はミッションを開いてね」

「ミッション……。確か、これだったわね」


 イナリの指示で、メイはミッション画面を開きます。


『魔物を倒して武器を鍛えろ!』


 画面には、そう書かれていました。


「なんなの、これ……」

「書いてある通りだよ。登録したナイフを使って魔物を倒すと、ナイフが鍛えられるはずだよ」


 目をパチクリさせて頭にハテナを浮かべるメイに、イナリが具体的に説明してくれました。


「信じられないわね。なんだか狐につままれた気分だわ」

「こうかい?」

「痛たたた。って、そうじゃないの。そうじゃないけど、目が覚めたわ」


 メイの呟きを拾って、イナリがメイの頬をつまむと、痛みを感じてメイは我に返ったようです。


「じゃぁ、早速魔物を倒しに行こうよ!」

「そうね。イナリを信じて試してみるわ」


 メイとイナリは近くの森へ向かいました。森にはゴブリンや角兎が出ますが、メイは現役ハンターなので、これらの魔物は余裕で倒せます。


 ときおり画面を確認しながら数十体の魔物を倒したところで、品質表示の内容が変わりました。


「並品質が良品質になったわ……」

「うん、品質が向上したね。おめでとう!」


「なんだか、狐につままれた気分だわ」

「こうかい?」

「痛たたた。ふふっ、夢じゃないのね」


 おかしな武器の鍛え方に、メイは頬を抑えて嬉しそうに微笑むのでした。

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