魔法少女エーテルのログ

白沢悠

[eb/4b/a6 >> eb/5a/b2]

[Ether>> eb/4b/a6 64:ea:cc (QBT)]

 管理者によるコマンドを確認。セットアッププロセス開始──魔獣消去モジュール〝エーテル・シャイニー〟起動、認知フィルター〝マジカル・レイヤー〟起動、アップデート確認──完了。……おはよう、プロクシィ。今日もはりきって魔獣をやっつけようね!


[Ether>> eb/4b/a6 8b:4e:2e (QBT)]

 あそこ、魔獣が暴れてる……待ってて、すぐ助けに行くから!


[Ether>> eb/4b/a6 8b:50:d5 (QBT)]

 うう、この魔獣……かったい! みんなの魔法も弾かれてて、ぜんぜんコアが見えてこない。でもでも、クオリアで暮らす人間さんたちのためだもん。わたし、ぜったい負けないんだから! 見ていて──エーテル・シャイニー!


[Ether>> eb/4b/a6 8b:51:0a (QBT)]

 コア反応消失、消去完了──やったぁ、やっつけたよ! みんな平気? あれ……なぁに、どうした、の──?


[Ether>> eb/4b/a6 8b:51:0f (QBT)]

 水が、顔に──痛くない。みんな叫んで、すごく静か──。


[Ether>> eb/4b/a6 8b:54:3d (QBT)]

 ──待って、待って! ね、あなたが助けてくれたの? わたしがやられちゃいそうだったあの魔獣、すごく強そうだったって、みんな言ってたよ。なのに一発で消去しちゃうなんて……あなた、すっごい魔法少女なのね!


[Ether>> eb/4b/a6 8b:54:b9 (QBT)]

 わたしはエーテル。あなたと同じ、魔法少女よ。さっきはちょっとドジしちゃったけど、けっこう強いんだから。

 あなたは……アストラちゃんね! 初めて聞いたけど、すてきな名前。もしかして造られたばっかりの子かな? ねっ、よかったらクオリアを案内するわ。いいのいいの、助けてくれたお礼よ!


[Ether>> eb/4b/a6 8b:61:58 (QBT)]

 見える? あれはアニムスコア。魔法少女はみんな、あそこで造られるの。怪我をしたらあそこまで帰って、プロクシィに修復してもらうといいよ! ……あっ、プロクシィっていうのは、そこで飛んでる白くて丸い子のこと。魔獣がクオリアに入ってきたら教えてくれるよ。それに、アニムスコアにある難しい魔法の本を読んで、わたしたちに新しい魔法をくれるの。


[Ether>> eb/4b/a6 8b:61:b9 (QBT)]

 ……えっ? 怖くなんてないよ。わたしたちは魔獣からクオリアを守るために造られたんだもん。魔獣が怖かったら、みんなを守れないじゃない。アストラちゃんは怖いの? ……怖くない?



[-- DATA CORRUPTED --]



[Ether>> eb/4b/b9 ca:47:a7 (QBT)]

 アストラちゃんの魔法、初めて見た! ぱしゃって水をかけるだけなのに、魔獣が消えちゃうくらい強いのね。思ったとおり、きれいな魔法! ……あーあ……わたしもアストラちゃんみたいな魔法が使えたらいいのに。


[Ether>> eb/4b/b9 ca:47:f6 (QBT)]

 こころ……? そっか、アストラちゃんは、魔法少女に魂があるんじゃないかって考えてたよね。でもわたしがアストラちゃんみたいになりたいって言ったのは、そうしたらもっとたくさんの人間さんたちを守れるからなの。だって、魔法少女は、人間さんを守るために造られたんだもん。だからわたしたちは、人間さんみたいに……心からのお願いごとはしないんじゃないかな……?


[Ether>> eb/4b/b9 ca:48:0a (QBT)]

 ……あっ! でもでも、もしわたしたちも人間さんみたいなお願いごとができたら、それってとってもすてきね! ね、アストラちゃん、いつか魔法少女の魂を見つけたら、わたしにも見せて?



[-- DATA CORRUPTED --]



[Ether>> eb/53/8b 9b:ae:c5 (QBT)]

 また魔獣……こんなに遠いのに、すごく大きい。そうね、みんなが集まってから一斉に魔法を使って……。


[Ether>> eb/53/8b 9b:ae:e4 (QBT)]

 ──ううん、それじゃダメ! ほらあそこ、魔法少女が捕まってる。助けなきゃ。でも、どうしよう……わたしたちだけで、やっつけられるかな……? アストラちゃんもいない……こういうとき、アストラちゃんだったら……。……うん。アストラちゃんだったら──きっと助けてあげてるよね!


[Ether>> eb/53/8e 9b:b4:cb (QBT)]

 ……良かった、気がついたみたい! はじめまして、わたしはエーテル。あなたはプネウマちゃんっていうのね。──あっ待って待って、動かないで! アニムスコアまで運ぶから。……そうそう、言い忘れてたわ。プネウマちゃん、あんなに大きな魔獣から、みんなを守っててくれてありがとう!



[-- DATA CORRUPTED --]



[Ether>> eb/54/00 79:9e:86 (QBT)]

 プネウマちゃん! 元気になったのね。よかった!


[Ether>> eb/54/00 79:af:5c (QBT)]

 そっか……プネウマちゃん、造られたばっかりなのね。……ううん、先輩なんて呼ばなくていいってば。わたしだって、ドジしちゃったり、ぜんぜん魔獣をやっつけられない日もあるもん! ……え、そういうことじゃない? じゃあ、どういうこと……えっ。


[Ether>> eb/54/00 79:af:a7 (QBT)]

 ……プネウマちゃん、魔法が使えないって、ほんとう……?



[-- DATA CORRUPTED --]



[Ether>> eb/54/18 79:98:93 (QBT)]

 見ててね! こうやって……魔法を信じて、手のひらに力を込めて、伸ばして! ──エーテル・シャイニー! ねっ、簡単でしょ?


[Ether>> eb/54/18 79:9a:7a (QBT)]

 じゃあ、あれくらいの魔獣だったらどうかな? ……そうそう、想像して……手をぐーって──ああっ、危ない! ごめんね、ちょっと下がってて? エーテル・シャイニー!


[Ether>> eb/54/18 79:9c:98 (QBT)]

 うーん……ちょっと疲れちゃったよね。……休憩しよっか!


[Ether>> eb/54/18 79:aa:58 (QBT)]

 ──大丈夫よ! プネウマちゃんは、とっても頑張り屋さんだから、すぐに、すてきな魔法が使えるようになるわ。楽しみね!


[Ether>> eb/54/18 79:aa:73 (QBT)]

 もしかして、プネウマちゃん……魔獣が怖かったり、する?


[Ether>> eb/54/18 79:ab:39 (QBT)]

 ──そうよね! 魔法少女に、「怖い」なんて気持ち、ないはずだもん。……やだ、わたしったらアストラちゃんみたい。ごめんねプネウマちゃん、気にしないで。


[Ether>> eb/54/18 79:ab:96 (QBT)]

 アストラちゃん? アストラちゃんはね……あっ、あそこ! あそこにいるキラキラした銀色の髪の魔法少女よ。プネウマちゃんと同じで、造られたばかりなの。声、届くかな──アストラちゃーん!


[Ether>> eb/54/18 79:ac:48 (QBT)]

 えっ……浮かない顔してる? そうかな……?

 ……どうしよう、プネウマちゃんのこと、話しちゃっていいの?


[Ether>> eb/54/18 79:ac:d6 (QBT)]

 プネウマちゃん……。──でもでも、プネウマちゃんは、すっごく大きな魔獣に立ち向かった、強い子なんだから! 魔法だってきっと……ううん、ぜったい使えるようになるわ!


[Ether>> eb/54/18 79:ad:1c (QBT)]

 怖い気持ちなら、一度乗り越えられれば大丈夫……?


[Ether>> eb/54/18 79:ad:39 (QBT)]

 ……もう、アストラちゃんったら、ほんとうに人間さんが大好きなのね。プネウマちゃん、フリーズしちゃってるじゃない。



[-- DATA CORRUPTED --]



[Ether>> eb/54/5d 68:74:da (QBT)]

 プネウマちゃん、おはよう! 今日も、行こっか。


[Ether>> eb/54/5d 6f:91:7d (QBT)]

 小さい魔獣、小さい魔獣……ううん、最近なんだか、大きい魔獣が多いのね。あっ、あれなんてちょうどいいんじゃな、い──?


[Ether>> eb/54/5d 6f:91:91 (QBT)]

 ──ダメっ! プネウマちゃん、わたしはいいから、逃げて!


[Ether>> eb/54/5d 6f:91:ef (QBT)]

 大丈夫、だから。こうして捕まってるってことは、きっと、すぐにやられちゃうわけじゃない。だから……プネウマちゃんは、逃げるんじゃないわ。助けを呼びに行くだけなの。ね……?


[Ether>> eb/54/5d 6f:91:29 (QBT)]

 ……どうしよう、どうしよう! このままだと、わたしも、プネウマちゃんもさらわれちゃう。どうにかして抜け出さないと……せめて、プネウマちゃんには逃げてもらわないと! うう……プネウマちゃん……あなたの魔法、見られなくてごめんね……。


[Ether>> eb/54/5d 6f:92:86 (QBT)]

 わたし、浮いてる──風が──プネウマちゃん! わたしの言ったとおり、すてきな魔法だったでしょ……?


[Ether>> eb/54/5d 6f:a6:ce (QBT)]

 ……ううん、わたしこそ、助けてくれてありがとう! その魔法は、プネウマちゃんが頑張ったから使えるようになったものよ。だから何があっても、プネウマちゃんならもう、ぜったい大丈夫。また会えたら、魔法を見せてね!



[-- DATA CORRUPTED --]



[Ether>> eb/5a/b2 30:fb:b1 (QBT)]

 ……あっ……アストラちゃん。こんばんは、すてきな夜ね。魔獣もいなくて、星がきれいで……。


[Ether>> eb/5a/b2 30:fb:c1 (QBT)]

 うん……今夜はちょっと、考えごと、してるの。

 ……プネウマちゃんのことだけど、でも、そうじゃないわ。プネウマちゃん、魔法が使えるようになったの。魔獣に捕まっちゃったわたしを助けるために一度、そしたら、ずっと……今では、もしかすると、わたしより、強くなったかも。


[Ether>> eb/5a/b2 30:fb:fc (QBT)]

 違うわ! ……もちろん、嬉しいの。でも……わたしたち、魔獣をやっつけて、クオリアの人間さんたちを守るために造られたはずなのに。なのにどうして、プネウマちゃんは最初、魔法を使えなかったのかなって。プロクシィにだって直せなかったのに、どうして……わたしを助けるために、使えるようになって、アストラちゃんの言ったとおり、それで大丈夫になったのかな、って……。


[Ether>> eb/5a/b2 30:fe:63 (QBT)]

 ……アストラちゃん……魔法少女の魂は、見つかった? わたしたちは、人間さんみたいに魔獣を怖がったり、心からのお願いごとができるの……?


[Ether>> eb/5a/b2 31:00:00 (QBT)]

 魔法少女は、バーチャル・スペース〝クオリア〟をウイルスから守る、セキュリティのようなもの。前にプロクシィが、そう言っているのを聞いたわ。それなら、どうして……人間さんみたいな心を持たせるの? わたしたちは人間さんに見られちゃうと、魔法の力が弱くなるから、一緒にいられることだってあんまりないのに……。


[Ether>> eb/5a/b2 31:02:ae (QBT)]

 ──ううん、きっとわたしたち、とってもすごいAIなのね!


[Ether>> eb/5a/b2 31:02:b3 (QBT)]

 そうね、そうね! 最近、強い魔獣がたくさん入ってきちゃうから。わたしも頑張って、人間さんたちと、クオリアを守らなきゃ!



[-- DATA CORRUPTED --]

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