第25話 リバイアサンの真の力
俺とマインは勝利を確信していた。
「……!!!」
この声は……ライムの声だ!! アイツ、無事だったんだな!!
ライムが泳いでどんどん近づいてくるが、なんか様子がおかしい。
「どうしたの、ライム!!!」
マインが聞き返す。
そして、ライムの声がはっきり聞き取れた。
「二人とも!!! 早くこの場から離れて!!!」
すると、突然刃の様な泡立った水撃が俺達に目掛けて飛んできた!!
「マイン!!! 危ない!!!」
俺はマインを抱きしめると、『ブースト』を発動!! 間一髪でかわした!! なんとその水撃は、近くにあった大岩を一刀両断した!!
「危ねぇ!!! 一体何なんだよ!!!」
俺達は水撃の飛んできた方を見た!! そこには、全身が青色の液状の精霊が立っていた!! 先ほどのリバイアサンより遥かに小さく、百七十センチメートルほどだった!!
「コイツ、リバイアサンの部下か? さっきまで他のモンスターはいなかったぞ」
俺が尋ねると、合流したライムが説明する。
「これは、リバイアサンの本体です!!」
本体!? どういう事だ!!?
「シリウスくんがマインさんを助けている間に、瓦礫を抜け出したわたしは、ある石板を見つけたのです!!」
「そこに書いてあったのは、リバイアサンは仮の姿で、本物は”海王ポセイドン”!! それが目の前にいるのです!!」
嘘だろ!!? さっきのはダミーで、本物はコイツなのか!!?
「と言う事は、この本体の方が強いのか!!?」
俺の質問に答えたのはポセイドンだ。
「この姿こそが、俺の本来の姿であり、真の力だ!!」
「この姿になったという事は、貴様らは俺を本気にさせたようだな!!!」
「特にその娘、マインと言ったな!? 気に入らねぇ目をしてるぜ。 俺の仮の姿を撃破した事を後悔させてやる!!!」
満身創痍の俺達に、ポセイドンは襲い掛かる!!!
「『参式・水流刃』!!!」
ポセイドンは先ほど俺達に放った刃の様な水撃を繰り出した!!! 早え!!! 危ねぇ!!! こんなのくらったら、体がバラバラになっちまうぜ!!!
「『一式・水芯針』!!!」
今度は体から取り出した液体を針の様に形を変えると、俺達に飛ばして来た!! その攻撃は近くの石をピンポイントで貫通した!!
「まだまだ行くぞ!!! 『弐式・水鎌』!!!」
ポセイドンは腕から出した液体を鎌状に変化させ、それを武器に、マインに目掛けて突っ込んだ!! マインも自身の電気エネルギーを刃の様に変化させ、応戦する!! 緊迫感溢れる斬撃の応酬に、俺は呆然として動けなくなる。
「なんて速い太刀筋なの!! 隊長のマインさんじゃないと、防御することも出来ないよ!!」
ライムも同じ事を考えていたようだ。
あまりのハイレベル光景に、俺達は見つめる事しか出来なかった。
今割って入ったら、ただ彼女に気を遣わせるだけの足手まといだからだ。
「クソッ!! 善戦はしてるが、明らかに向こうの方が押してる!! このままだと、マインの方が先に潰れてしまう!!」
「ライム!! 二人で力を合わせよう!! アイツはマインの方に意識がいってる!! その間に二人で挟み撃ちにするぞ!!!」
俺の指示にハッとしたライムは、首を縦に振った。
「よし!! 行くぜ!!!」
「うん!!!」
そうだ! お前はマインを守るって言ったんだ!! そうだろ、グロリア冒険団四番隊副隊長ライム・レウスフィールド!! 普段は女の子みたいだけど、こういう時は漢の見せ所だぜ!!!
「わたしがマインさんの後ろから攻撃して、ポセイドンの気を引きます!! その間にシリウスくんがポセイドンの首を取ってください!!」
ライムはそう指示を出すと、小さな体を生かしてポセイドンに気付かれないようにマインの後ろに回り込む。
「今だ!!! 行っけぇぇぇぇ!!!」
俺達は、斬撃の攻防を繰り広げる二人に特攻した。
まず、ライムがマインの真後ろから飛び出し、攻撃を仕掛ける!
「『ジェット・ウィンド』!!!」
ライムは風属性の魔法を繰り出し、ポセイドンを攻撃する!!
「コイツ!! この女についてくるガキか!!? ちまちまと面倒くせぇんだよ!!!」
ポセイドンは鎌で振り払った。
この時を待っていたぜ!! 俺は待ちわびたかの如く『ブースト』を発動する!! しかし、俺の攻撃にポセイドンは気付いた。
「まさか!! このガキは囮だったのか!!? だが残念だったな!! もう気づいちまったんだよ!!!」
「『参式・水流刃』!!!」
ポセイドンのお得意の水撃が、俺に向かって放たれた!!!
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