第二章 海底神殿編
第14話 集会開始
「さぁ、みんな揃ったわね!」
そこへソフィアも合流し、一から五までの隊長たちが出揃った。
「凄いっす!! 本当に豪華な顔ぶれっす!!」
「いやいや、わたし達そんなに有名じゃないよ」
興奮するユラをマインが優しくなだめる。
そこへ“天才ルーキー”ことサラがマインに尋ねる。
「マイン、このモンスターたちは?」
「うん、この子たちは……」
マインが答えようとすると、突然号令がかかる。
「みな集れ!!! 集会を始めるぞ!!!」
オリビアの声だ! 俺たちが振り向くと、教団に総帥エミリア、後ろ右にオリビアが立っていた。
「総帥、話を……」
「うん。分かってる」
エミリアは笑顔でそう言うと、演説を始める。
「みんな!! 一週間前、王宮から連絡がありました!!」
「内容は、『海底神殿に潜むリバイアサンの討伐をお願いしたい』との事でした!!」
リバイアサンの討伐と聞いた団員たちはさっきまで静かだったのが嘘の様に、どよめき出した。
「リバイアサンだと!! あの伝説の!!?」
「無理よ!! 生きて帰れる気がしないわ!!」
「国王め!! 俺達を殺す気だろ!!」
オリビアが壁をドンッと叩くと、団員たちは静かになる。
エミリアは続ける。
「近年、船の沈没事件や、海での行方不明者が著しく増加しています!! 王宮にはその大半がリバイアサンの仕業だと報告されているらしいです!!」
「国王は、討伐を成功させたら、国から優秀なメンバーを百五十人派遣することを条件に出してきました!!」
すると、またしても団員たちは騒ぎ出す。
「百五十人だと!? 一気に倍デカくなるのか!?」
「この条件は大きいわね。だけど誰が行くの?」
「流石に俺は無理だ。他の奴に任せたいな」
人数が増えることは冒険団にとってはいいことみたいだが、みんな、渋っている様子だった。
「この依頼を成功させたら、メンバーが増えるだけじゃなくて、うちの世界的な評価も上がるから、報酬もいつもの倍は貰えるようになります!!」
「だけど、今回の任務は相当危険です!! 本当に死ぬかも知れないから……命を投げ出す覚悟がないと厳しいです!!」
「この任務を受けた方が良いのか!!? 受けたとしても誰が行くのか!!? みんなの意見を聞かせて下さい!!」
しかし、団員たちは誰一人名乗り出なかった。
「流石に報酬が増えるからって、自分の命の方が大事だろ」
「俺が行かなくても、誰かが行くだろうしな」
やっぱりどの世界でもみんな自分が大事だよな。
いくら大きなメリットがあっても、死んだらチャラだしな。
よし、こうなったら!!
「俺がやる!!!」
突然の俺の参戦宣言に、周囲はどよめき立つ。
「ちょっと待って、団員でも無いあなたが何言ってるの!!?」
エミリアは動揺して、両手のひらを表に向けて言う。
「今の間にも、リバイアサンに襲われて命を落としている人がいるかも知れないだろ。そんなのほっとけねぇよ」
「俺は水中で自由に動ける。確かに自分のステータス的に攻撃力は自身が無いが、サポート役ならできると思うぜ」
「それに、仲間じゃない俺なら、お前らも無駄に気を遣う必要ねぇし、無償だし、良い事ずくめじゃねぇか」
俺はどや顔でそう言ってやった。
エミリアは腕を組んで考えている。
まぁ、俺は団員ではないが、今は客だもんな。
「わっかたよ。考えとく」
エミリアは渋々承諾した。
「馬鹿な奴だ。モンスターがモンスターの討伐か? まぁ勝手にしろ。少なくとも俺達が手を汚さず、醜いモンスターが消えるなら、好都合だ」
モンスター嫌いのグランドがそうほざいている。
お前、あれだけモンスターは駆逐しないととか言ってたのに、今は見ているだけかよ。
口だけじゃねぇか。
「あのぉぉ……ちょっと良いですか?」
そこへ、マインが低く手を上げて尋ねる。
「どうしたの? マイン」
エミリアが尋ねる。
「わたし達も一緒に行ってもいいですか?」
すると、マインともう一人、ピンク色のショートヘアに水色の瞳のマインより少し背の低い少女が横に並んでいた。
「マインに、副隊長のライムだね」
「マイン、確かにあなたの雷の魔法なら、リバイアサンに有効だね」
「でも本当にいいの? 最悪死ぬかもしれないよ」
エミリアが確認する。
「うん。彼が動いてくれたおかげでわたしも覚悟がきまったよ!!」
マインはそう言うと、俺の方に視線を送った。
「わかった。マインらしいね」
エミリアはフフッと笑うと、笑顔で承諾した。
「じゃあ、現状のパーティメンバーは、シリウス、マイン、ライムの三人と私とエミリアの計五人だ!!! 決行は一か月後!!! もし、我こそはと言うなら名乗り出てきてほしい!!! 以上!!! 解散!!!」
オリビアの号令で集会は幕を閉じた。
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