茜色の魔法使い

音無桐谷

第一部 巻き込まれ少女と児童連続誘拐事件

プロローグ

 魔術。


 そう聞いたあなたは何を思い浮かべますか?

 派手な炎や雷を使った攻撃ですか?

 それともどんな傷も癒す治療ですか?

 もしくはどれでもなく、何か違うものを思い浮かべるかもしれません。


 けれどどんな魔術も元をたどればすべて悩みを解決するための「願い」から生まれたものだと私は思います。

 

 悩みを自身で解決できる人はきっと強いのでしょう。

 しかし、できない人もいる。

 どうにもならない嘆き。苦しみ。そして怒り。

 それら不条理な現実を超常をもって壊し解決するもの。弱者が進むための牙。それが魔術です。


 では、願いがなければ魔術は使えないのか。

 その通りです。しかし、人間であるならどのような願いであれ持つものです。

 例えば、大事な人を生き返らせたい。褒められたい。お金持ちになりたい。恐ろしい敵を倒したい。人に好かれたい。


 もし願いがないと言うなら、それはただ知らないだけ。

 もし、願いを知らない人が魔術と出会ったなら。どうなるのでしょう。


 これは「ねがい」を知らない少し不幸な少女が「魔術い」を見つける始まりの物語。

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