四十頁目

嘘はやめて

そんな穏やかな声を出さないで

 

わたしは優しくなどない

それをただひたすら

欲しているだけ

 

 ⌘

 

ぬかるみに潜んで

憎い記憶を踏みつぶして

笑うことを忘れられたら

どうなるのかしら

どうなれるのかしら

 

 ⌘

 

ぴたぴた

水音はとまらず

あなたのこと わすれてく

ああ あの頃は

何も知らないままに

微笑っていられたのにね 

 

 ⌘

 

はいはい ならんでくださいね

きょうは とくべつなひですから

おかしを さしあげましょう

とびきり あまいものですよ

さあさあ だれからわたしましょうか

あらあら どうしてにげるのでしょう

くすくす みなさんかんがいい

 

 ⌘

 

ららんと歌って

あなたの夢にでかけるの

 

わたしの声

憶えていなくても

 

そこにゆけさえすれば

それだけで嬉しいわ

 

わたしはねむる

ふかい扉へむかうの

 

流れ星だけが知ってる

そんなちいさな願い

そんなちいさな誓い

 

わたしはねむる

ふかい扉へむかうの

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る