十六頁目

ちいさなちいさな おもちゃ箱

あなたの なみだ もっといで

鍵をかけたら ほら静か

なあんにも 心配いらないよ


ちいさなちいさな おもちゃ箱

あなたの こころ もっといで

そのまま仕舞って ほら静か

なあんにも 思い出せないね


ちいさなちいさな おもちゃ箱

あなたの からだ もっといで

壊してしまえば ほら静か

なあんにも 残らず消えてった



 ⌘



安物の指輪

ぴかぴかしていた

持ってゆけぬものと

知らないままに



 ⌘



みずたまり ふみぬいて

どこまでも 落ちよう


ああそこは 空なのか

ああそこは 海なのか


どっちだって良い

戻らずに すむのなら


どこだって良い

さよならは 言わない



 ⌘



いとおしい雫に

胸がこわれそうになる

君のなみだと

いつかの雨



 ⌘



ちいさなガラス瓶に 

記憶を浸して

そのまま

放り投げてみたけど

ああ

まだこの手にある

いつだって

そのくり返しだ

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