十一頁目

小さい箱のなかで

お気に入りの曲を聴きながら

知らないひとのラジオ

たまに聴いて

おいしいお菓子を食べて

眠ったりもして

あれあの箱は

どこにいったっけ?



 ⌘



たくさんの声が混じる

たのしい場所なら

こわいものなどないだろうから

きっとゆけるだろう

おそろしい場所なら

どうせこわいことばかりだから

むしろすすめるだろう

なんてね

全部うそだよ



 ⌘



ふわふわ ずっとこうしていたい

なにもかも わすれて

とけてゆきたい

どうか どうか

しらないふりをしてね



 ⌘



思い出のキャンディ

がりがりかじる


ああもううんざりだ

ああ味もわからない


けれど捨てやしないさ

包み紙さえここにある


なぜなら色味はわりと

気にいっているのでね



 ⌘



きみはいつだってやさしいね

つらくなるほどだよ


いまもあるの

ここにあるの


ごめんね

ごめんね


ありがとうね

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