なにもしたくない。
水沢妃
トゥルーエンド
さいしょ
ああ、疲れた。
今日も終電に間に合わなかった。
電気を点けて、ベッドに倒れこむ。
いくらやっても終わらない仕事。
すぐに怒鳴る上司。
仕事を押しつけてくる後輩。
同期はみんな辞めてしまった。
……いつまでこんな生活が続くんだろう。
スーツを脱ぐ元気もなく、ぼんやりと部屋を眺める。
最後に掃除したのはいつだったっけ?
干したままの洗濯物。
転がっているペットボトルとコンビニの袋。
使ったまま放置している食器。
積んだはずがいつの間にか崩れている雑誌。
脱ぎ捨てられた昨日のブラウス。
もう、足の踏み場もない。
物がないのはベッドの上だけ。
起きて着替えて仕事に行って、帰ってきてご飯を食べてシャワーを浴びて寝る。
それすらも、ここ数日はままならない。
帰ってきたものの、持ち帰ってきた仕事がある。
ぼんやりしすぎてご飯を買うのも忘れてしまった。
このまま寝ていたら、スーツに皺がついてしまう。
そんな普通のことも、霞がかかったような頭では考えられなくて。
なんとか枕元に手をのばし、電気だけを消して瞼を閉じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます