ノルウェイの虎
夢水 四季
出会い
真っ暗闇のノルウェイの森で、俺は一匹の虎と行き遭った。
ここはノルウェイだ。ノルウェイのはずだ。
針葉樹林に囲まれた、冷たい土地。
クマ、トナカイ、キツネならまだ分かる。
何でここにトラさんが⁉
えーっと、虎に遭った時の対処法は……、死んだフリ、いやクマと一緒かよ⁉
虎はじーっと俺を見つめている。俺を狙っているのだろう。ああ、思えば短い人生だった。今まで日本で暮らして来て、ちょっとしたノリで北欧旅行に行ったりなんかして。海外をなめていた。目の前に虎がいるのは事実、きっとどうやったって助からない。
ただ一つ心残りなのは、俺が未だに童貞だということだけ!
ああ、もし転生できるなら、今度はイケメンでモテまくりの人生イージーモードがいい。
虎の口が開いた。
「おわあ、こんばんは」
俺の思考が止まる。
「え、今、しゃ、しゃべった?」
「我が臆病な自尊心と尊大な羞恥心……」
「萩原朔太郎か中島敦か、ちゃんとキャラ決めとけよ!」
いつの間にか辺りはすっかり朝になり、虎の姿は消えていた。
終わり
ノルウェイの虎 夢水 四季 @shiki-yumemizu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ノルウェイの虎の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます