第197話 ジークの過去
「な、何ということでしょう!!! RENの聖剣によつて、アンデッド達が次々と消え去っていきますッッッ!!!」
「RENの聖剣はどうやらただの聖剣という訳ではなさそうですね! 聖属性が相当強めに
「ぐぬぅ……」
ジークが呻き声を挙げている間にもアンデッドは数を減らしていく。
そしてついに最後の一匹となった。
ガギィィィィィィィィィン!!!
俺の剣が初めて敵と打ち合いになった。
その相手はあのデュラハン。
「流石にコイツだけは一筋縄ではいかないか……」
素早いステップで、奴のサイドに回り込み攻撃を仕掛けるもその全てを弾いてくる。
チィッ! 分かってはいたがなかなか厄介だ。早めに片付けなければ……。
そう思ってもデュラハンは一切の攻撃をせずに防御することだけに専念していた。
この
「よし、デュラハンよそのまま抑えておけッ! ワシが自ら貴様を葬り去ってくれよう!」
ジークは聖剣ヴォルグスネーガを手に、俺に襲いかかってくる。
「ジークが動き出しました! これで二対一となります!」
「RENとしてはジークとやり合う前にデュラハンを何とかしたかったでしょうね。しかし、あれだけいたアンデッドが今や一体だけですから、これだけでも驚異的といえます! RENのスペックは私が思っていたよりもずっと高かったようです!」
とにかぐ足をとめずに動き回りながら二人同時に相手をしないようにしなければ……。
俺は必ず敵のサイドをとりつつ、攻撃をしていく。盾を持っていない上に剣は一本しか持っていないのだ。二人に同時に斬りかかられるとマズいからな。
「よくもチョコマカと動き回りおってッ! コレでどうだッ!」
ジークは炎の上級魔法、ファイヤーウォールを唱えた。
通常、ファイヤーウォールは敵からの攻撃を防ぐために用いるが、ジークはこの魔法で、三人を囲い込むように使ったのだ。
「ジークがファイヤーウォールを仕掛けました! 三人が炎の壁に囲まれてしまった!」
「ジークは戦いく上手いですね! コレでは中を動き回るのは大変になりますよ! 何せ回り込むと炎のそばになりますから!」
「へぇ、少しは頭が働くんだな。だが、これならどうだ?」
剣を振り、デュラハンが盾で受け止める。その打ち合った瞬間、雷の魔法を放った。至近距離での魔法はデュラハンを直撃し、その動きを止めるのだった。
俺は雷魔法の直撃により動きの止まったデュラハンを難なく一刀で斬り伏せた。
「グウウウッッッ! ワシのデュラハンがっ!」
「この至近距離であれば、お前のブラックホールも届かない。そうだろう?」
「よもや、ワシが一人になるとはな……だが、貴様にワシの邪魔はさせん! ここで葬り去ってくれるわ!」
「ついにジークとの直接対決だーーーッ! 聖剣と聖剣がぶつかり合うッ! 果たして、どちらの聖剣が勝つんだッ?!」
激しい打ち合いが続いていく。俺とジークの剣技はまさに五分と五分。幾度も火花を散らし、お互いの剣がぶつかりあっていった。
「貴様にはわかるまい! 神共の愚かさがッ! このワシが神共を駆逐し、全ての種族が平等な世界を築くのだ!」
ジーク……。
「何故そこまで神を嫌っているのだ? 神の中には善良な奴もいる。全てが悪いわけではないはずだ!」
「知ったような口を……、貴様にはわからぬのだッ! これは神に騙され、全てを失ったワシの復讐なのだっ!」
「復讐だと?」
ジークは声を荒げながら語りだした。自らに起きた悲しき物語を。
「冥土の土産に聞かせてくれようッ! 神が過去に何をしたのかをッ!」
***
「魔王よ、貴様の悪行もこれまでだ。覚悟するがいい!」
今、私の手に握られている聖剣はヴォルグスネーガ。神より授けられし聖剣を握り、この世界で悪逆の限りを尽くしてきた魔王をついに追い詰めたのだ。
「確か……ジークとか言ったな、若き人間よ」
魔王は追い詰められたというのに、何故か冷静な目つきをジロリとこちらに向けてきた。
「あぁ、貴様を倒す者の名だ! 覚えておけ!」
「哀れな男よ。余を倒すため、神に騙されたのであろう? 嘆かわしいことだ」
魔王はため息をつきながら視線を伏せた。
「俺が哀れだと?」
「いかにも。貴様の持つ剣は神の呪いがかけられた災いの剣。余をここで倒したとしても、今度は貴様自身に呪いが降り掛かっていくだろう。そして貴様にはその呪いを受け止める覚悟が見当たらない。と、なればだ。貴様が神に騙されたのは容易に想像がつくというわけだ」
「さっきから何を言っている? 私が騙されているだと? そんなバカな! この聖剣ヴォルグスネーガは私をここまで導いてくれた! お前を倒し、世界に平和を取り戻す!」
「やはり……何を言っても聞かぬか……。よいか? 神など信じるな。奴等は自分の思い通りの世界を創る為に動いているのだ。決して貴様に肩入れした訳ではないのだ」
魔王はゆっくりと立ち上がり、腰に挿していた魔剣を引き抜くのだった。
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