第11話 初めてのカンスト
「むっ! この湧き上がる力は!?」
すぐさまステータスを確認する。
レベルは……9999! そして神聖魔法も同時に9999!
「やった! やったぞ! 俺はついにレベルをカンストさせた!」
感極まり、頬を涙が伝っていく。
「出来ることならばこの感動をSNSで伝えたい! この世界にインターネットがないのが残念だ!」
握りこぶしは震えるどころか、体中が感動に打ち震えた。
「くぅ〜〜〜っ! たまらん!」
「もう……いいかの?」
「うむ! ここまで付き合ってくれて有難う! 友よ!」
「えぇ、あんだけワシを殺しまくっておいて友?」
「あぁ、アンタのおかげで俺はここから進む事ができる!」
「いや、もうお主より強い奴なんていないんじゃからさ、いつでも進めたじゃろ?」
「くっ、こんなに永いこと付き合ってきたのに俺のことを全然わかってないじゃないか!」
「わかりたくもないわ! ふざけるな! 神であるワシをこんなにいたぶりおって!」
「だってアンタしかいないんだもん」
「何が”〜だもん”じゃ! 全っ然かわいくないわ!」
「まぁまぁ、これで終わったんだしいいじゃないか。過去のことは水に流そう」
「都合のいいことばかり抜かしおって! うぬぅ、この数年間にワシが味わった地獄、お主にも味合わせてやりたいわい!」
「そんなに怒るなよ? な? 俺たち、友達だろ?」
「だから誰がお主の……、もういい。疲れたわい」
ハーデスは地面に座り込んだ。
「あっ、そうだ。今ならアンタの願い事も聞けるぜ?」
「む? やる気になったのか?」
「あぁ、俺は基本的に優しいんだ。ネトゲ仲間のレベル上げにもアイテム掘りにも時間の許す限り付きあうことで有名だったんだぞ?」
「お主のネトゲ事情なんぞ知るか! じゃがまぁいいわい。ではお主の頭にワシの魔法の知識を全て授けるぞい。その中にターンアンデッドという魔法がある。それを使ってくれ」
「わかった! 任せてくれ!」
ハーデスは手のひらに魔力を集めると魔法陣を展開し、俺に向かって魔法を発射した。
ガィン!!
大きな音が鳴った。ハーデスの魔法は霧散した。
「あ、いけね。バリヤーを張りっぱなしだった! テヘペロ」
「きさまぁ〜〜〜! どこまでワシを馬鹿にすれば気が済むんじゃ〜〜〜!」
「だから馬鹿になんかしてないって。現に俺はアンタのこと友達だと思ってるんだぞ? この世界に来たからにはネトゲ仲間も同然だ!」
「全然うれしくないわ! 早くそのバリヤーを切れ!」
「全くせっかちなんだから。ほらバリヤーを切ったぞ?」
「うぅぅ、もうこんな奴の相手するの疲れたわい。では、いくぞ?」
「あぁ、こい!」
ハーデスの手から放たれるオーラのようなものが俺を包み込んだ。
「こ、これが、ハーデスの魔法知識!」
「うむ、この世の闇魔法の全てをお主に授けた。これで闇魔法も使えるようになっているはずじゃ」
「オープン!」
ステータスはと……、
名前 ソウ
種族 不明
Lv 9999
HP 96800
MP 99900
力 99999
体力 99999
素早さ 99999
知力 99999
加護 異世界神の加護 冥王神の加護
ふむ、魔法はと……
神聖魔法 Lv 9999
闇魔法 Lv 1
「おっ? 神聖魔法の下に闇魔法が追加されたぞ? 加護にも異世界神の加護の他、冥王神の加護も追加されたしな。しかし闇魔法 Lv1か……」
「うむ、我の加護を加えておいた。さすがにワシの知識を誰にも伝えずに消えるのは惜しいからのぅ。好きに使ってくれ」
「アンタ、いいヤツじゃないか!」
「うるさいわい! さ、すぐにやってくれ」
「ちょっと待ってくれ」
「ん? 何じゃ?」
「この闇魔法もレベルカンストまで付き合ってくれない?」
「……っ、こ、このタワケが〜〜〜〜っ!!!」
「あ、やっぱだめ?」
「あったりまえじゃ! ここまでどれだけ付きおうたと思っとるんじゃっっ!!!」
ハーデスのつばが辺り一帯に飛び散った。
「わかった! わかったからじゃ十回だけ! ね? お願い!」
「貴様〜〜〜〜っっっ!」
「あ、ホントにダメなやつだね。コレ」
「あったりまえじゃ〜〜〜っっっ!!」
「わかったってば、ハイ! ターンアンデッド!」
「うぉ! ワシの体が消えてゆく……。ようやく、消えることができるのじゃな!」
「あぁ、世話になったな。友よ!」
「もう友でもなんでもいいわい。あ、言っておくが、すぐにここから避難せんと、お主も浄化に巻き込まれるぞ?」
「なに?! それを早く言えよ!」
「フッフッフ、ようやっとお主から一本とれたわい」
「じゃあな、ハーデス! 死んだらあの世で会おう!」
「あぁ、お主がこの世界で何を成すのか。ゆっくりとあの世から見させてもらうとするかのぅ」
「では、さらばだ!」
「あぁ、ワシにもお迎えがきたようじゃ……。さらば、勇者よ!」
天井や柱がどんどん崩れ落ちていく。その中を疾風のごとく走り抜け、俺は遺跡の出口まで走り抜けていくのであった。
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