第8話 ダンジョン3Fへ
「あっ、きたきた。ホーリーソードっと」
ドラゴンは毎回同じ向きに出現することになっているようだった。俺は出現位置の後ろに寝そべって、出てくるのを待つだけである。
出てきたらホーリーソードを使って横に振るうだけでドラゴンはあっけなく崩れ去っていくのだ。
この作業を延々と繰り返し、レベルは2870にまで上がった。
「うーん、ここももう打ち止めかなぁ」
もうレベルアップしにくくなってきたのだ。すでに五百匹以上狩っていてもレベルは上がっていない。
「仕方ない、移動するか」
しかし、ポーションで空腹を誤魔化し、ヒールで眠気を覚まし、キュアーでお風呂代わりにするってのは何か使い方を間違っている気がしてならないが、これ以上どうにもならないので仕方がない。
ダンジョンには何かをドロップする敵もいないので、レベル上げに専念するしか楽しみもないのだ。
俺はさらなるレベルアップを求めて、大きなフロアーの奥にあった下り階段へと足を踏み入れた。
「んん〜、この辺りは雑魚ばっかりか」
出てくる敵はスケルトンナイトとメイジスケルトンばかりだ。スケルトンナイトの鎧と剣が豪華になっていたり、メイジスケルトンの杖が派手な装飾が施されたりといった違いはあるものの、基本的には同じ対応で倒せてしまう。
というか、俺の素早さが上がりすぎているせいか、後ろに回り込んでも気づかないんだよな。コイツら。
ホーリーソードを使うまでもなく、素手で殴り倒し、どんどん進んでいく。
通路の奥にまた、明るい光りが見えてきたのは、捜索を再開してから一週間は経過した後だった。移動がめっちゃ早くなってるのに、それだけの時間がかかるほど、このダンジョンは広かったのだ。
通路が終わるとさっきのフロアーよりもさらに広い空間が広がった。
「……ここは」
遠くには、あのドラゴンと似たような骨がいくつも転がっていた。そしてその中央には周りのドラゴン達よりもずっと大きい骨が横たわっていた。
「でっかい骨だなぁ。周りのドラゴンの三〜四倍はある。エンシェントドラゴンゾンビといったところか」
一気にドラゴンの目前まで走り、残像を残しつつ後ろに回り込んむ。
ドラゴン達は一斉にブレスを吐き出した。炎のブレスから氷のブレス、さっきまでよく見かけた酸のブレス、毒々しい色の緑色のブレスと多種多様のブレスが吹き荒れる。
そして、中央にいた巨大ドラゴンのブレスは地形がガラッと変化するほどの爆発が起こり、俺の残像を置いた所にキノコ雲が立ち昇った。
「凄まじい爆発だ。さすがにこれに飲み込まれたら回復魔法を唱える前に死んでいただろうな」
ドラゴン達の後ろに余裕で移動していた俺はホーリーソードを横に一閃する。
そして全てのドラゴンの骨が崩れ落ち、砂のように消えていった。
「お? レベルアップしたな。力が漲ってくるぞ。ちょっと危ないかもしれないけど、今度はここで張り込んでみるか」
思った通り、数分後にはまたドラゴン達が黒いモヤから現れた。
残像を残し、そこにブレスを吐かせて、俺は後ろに回り込んで攻撃する。
やることは増えたし、少しばかり緊張感もあるけれど、今までのような寝転びながらの単純作業ではなくなったし、やりごたえを感じるな。
俺はさらなるレベルアップを目指し、気合を入れ直すのであった。
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