第6話 湧き出る敵、上がるレベル
ひたすら現れるモンスターにヒールをかけるだけの作業だが、三ヶ月位にもなるといい加減に飽きてきてしまった。空腹はポーション、風呂はキュアー、眠気はヒールで解決するので、眠ることなく延々と狩りを続けられたのだ。
「あぁ〜、疲れた。でも大分狩りまくったな」
ぐっと背伸びをしてステータスを確認する。
レベルを確認すると83になっていた。この世界でこのレベルがどれだけ強いのかは知らないが、こんな序盤で83まで上がるということは先が長いはずだ。ということは俺はまだまだ初心者の域を出ていないのだろう。
まだまだレベルを上げたいのだが、一つ問題が起きてきた。
普通にスケルトンを一匹ずつ倒すだけではレベルが上がるのも遅くなってきて、効率が悪くなってきたのだ。
もうすでに300匹のスケルトンを倒してもレベルアップしていない。
一旦ここは引き上げて、先に進んでみるか。
この場所をあきらめて走り出すと、すごいスピードで走ることが出来るようになっていた。
「すごいっ! これがレベルアップの効果か。こんな速度で走れるなんて!」
今まで経験したことのないほどのスピードに驚き、またずっと走り続けても疲れをほとんど感じないのだ。
「このレベルならマラソンで金メダルも余裕だな。ってもう異世界にいるんだから関係なくなっちゃったけど」
スケルトンたちをヒールで片付けながら進んでいくと、黒くてボロイ布を被ったスケルトンが目に入った。
このスケルトンは手に杖を持っており、それを上にかざすと下から這い上がるようにスケルトンや、ゾンビたちが立ち上がってきた。
スケルトンのくせに魔法を使うのもいるのか! だが、俺にはアンデッドがどれだけいようと関係ない。
「エリアヒール!」
魔法を使うスケルトンの周りには数十体もの取り巻きがいたが全て崩れ去っていった。
と同時に体に力が湧き上がってくる。
「ん? 一回でレベルアップしたぞ? こいつはいいな! よし、この魔法を使うスケルトンを見つけて狩っていくか」
便宜上、この魔法を使うタイプのスケルトンをメイジスケルトンと呼ぶことにして、捜索を開始したところ、すぐにこいつだけが現れる場所を特定できた。
よし、この場所さえ抑えておけば……。
また黒いモヤが現れ、あのボロ布を着たスケルトンが現れた。
そして、手に持っていた杖を高々とあげると、俺の周囲が赤々と燃えだした。
「あっ、あつっ、熱い! なんだこれ? ヒール! それからポーションっ!!」
ポーションの水を大量に想像し、手から噴水のようにポーションを出して消火していく。
「ふぅ、危なかった。他の魔法も使うのか」
火が落ち着いたと思ったら、またメイジスケルトンが杖を上げた。
「あっ、やばっ」
今度は俺の出した水がみるみるうちに凍ってきたのだ。辺りは水たまりでいっぱいになっているし、俺の足元も水浸しだ。
「な、なにかないか? バリヤー!」
俺の前に現れたのは薄っすらと白い壁だった。俺を囲むように球体になっており、その内部には敵の魔法が届かなかった。
「危なかった。うまいこと便利な魔法が発動したおかげで助かったな。メイジスケルトンってすごい強敵だ。油断しないようにしないと」
メイジスケルトンは魔法が効かないとみるや、また杖を上げてアンデッドの召喚魔法を使ってきた。
「お? きたきた。これを待ってたんだよ。エリアヒール!」
起き上がったアンデッドたちと供に、メイジスケルトンも崩れ去っていった。
「お? またレベルアップだ。こりゃ効率いいな」
俺はしばらくここでバリヤーを張りつつアンデッド狩りをはじめるのであった。
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