第7話 人は叩かれると痛いんですわよ!ゴミ!カス!ですわ!!!!
「あら、美月来ていたの?」
凉坂さんはフランクに僕を叩いた謎のメイドを平然と出迎えていた。
「はい、彩様おはようございます、彩様が突入してから二時間ほど経ちましたので、予定通り私も来させていただきました。」
「おはよう美月、でも啓さんの事を叩いちゃダですのよ、叩かれると人は痛いんですわ」
君がそれを言うのか。というツッコミは一度置いておいて、この美月という名の謎のメイドは何なんだ。凉坂さんの従者?メイド?使用人?だという事は何となくわかるのだが。
「失礼ながら啓様の口元がとても気持ちの悪かったので、口で止める前に思わず手が出てしまいました」
気が短すぎるだろ。いや確かに、ちょっとだけ気持ち悪かったかもしれないけど、でもダメージを負っている所を可愛い女の子に頬を撫でられたら男なら誰だって同じようになるはずだ。
触れるものすべてを破壊していく侵略系お嬢様と口より先に手を出すドSっぽいメイド、二人の事をあまり知らないがお似合いだという事がよくわかる。
「そういえば、美月はあんまり男性の方があんまり得意ではありませんでしたのよね」
「はい、失礼ながら啓様みたいなお方を見ると吐き気が止まりません、地球上でなぜ男という人類が存在していいのか毎日疑問に思っております。」
何もそこまで言わなくても……。
「でも、今日から貴方も啓さんと一緒に住むんですから慣れてもらわないと困りますわ」
え、一緒に住むのか、美少女一人との共同生活より美少女二人との生活を喜ぶべきか、より監視の目が増えたことへの悲しみを感じるべきか、重大な問題が発生した。
「男性と一緒に過ごすなんて私としては絶対に嫌なのですが、彩様と一緒にいられる事、そして仕事だと割り切ってどうにかさせていただきます」
「あらあら、それなりに美月も楽しそうで嬉しいですわ」
僕には全く楽しそうにならなかったが、凉坂さんから見たメイドさんは楽しそうに見えるらしい。初対面の僕なんかよりはずっとその考え方が正しいんだろう。
「啓さんごめんなさい、紹介していませんでしたわね、こっちは私のメイドの美月ですわ。今日から私たちの生活のサポートをしてくれますわ」
「初めまして啓様、今日からお世話になる美月です。宜しくお願い致します」
美月さんは深々と頭を下げた。
世話になるつもりだったら、そんなに悪口言わなくたっていいのに。
という気持ちを抑えつつ軽く会釈をしておいた。彼女なりに何か事情があるのかもしれない。
「初めまして、よろしくお願いします」
こちらも同じくらい頭を下げ直してから、ありえない程普通の挨拶を行った。
もしかしたら、もうリアクションを取るほど気力がないから惰性で行動しているだけなのかもしれない。
「啓様、私は今日から彩お嬢様と啓様の使用人です。そのため敬語など使わずに私を呼ぶときは、『ゴミやお前、カス』などでお願いいたします。」
前言撤回。叫ぶくらいのリアクションを取らせてください。
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