こんな世界なんて無くなっちゃえばいいのに。
@wazin9797
プロローグ 見境なき終始
願い通り、明白に形を喪っていく世界の中、俺達は手を取り合って、打ち上げ花火を眺めていた。
たった2人きりの世界。邪魔な物なんて何一つ無い。けど、夜空に輝く花火の生命が刹那なのと一緒で、そんな幸せな時間もここまでで。
「じゃあ、ね」
天地が曖昧になって、過去と未来がぐちゃぐちゃになって、自分という存在さえ薄らいでいく。
感情なんてとうに失くしたのだろう。不思議と終末を迎える事は怖くなかった。
でも、気持ちを通り越してまで、許せない事があった。
それは、俺の中から、彼女と過ごした記憶が抜け落ちる事だった。
──そして、空っぽになった。記憶も肉体も精神も。
でも、1つだけ。1つだけ俺が俺であり続けられたのは───全てを否定する様な、哀しげに綻ぶ彼女の横顔が、忘れられなかったからだ。
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