見捨てない選択
「
「! 今の声は……
「やっぱり! 今の悲鳴は
扉のない部屋の中からひょっこりと
見たところ怪我はなさそうだ。
無事か。
ひとまず安堵するが、
「ほ、ホントによかった……僕一人じゃどうすることもできなくて、ホントに……っ、よ、よかった」
「
死んだか?
『おわきん』は攻略対象がよく死ぬゲームだ。
でも、一応
嫌な予感がしながらも、部屋を覗いてみると、
布には血がついている。
「怪我したのか?」
「うっ、あ、た、
「武器を持ったゾンビ!?」
やはり、中盤以降に出てくる敵がもう出現し始めている……!
俺がストーリーに干渉したせいか?
消防士の
問題は
「それは、この建物内に出たのか?」
「い、いや、建物の周りにいて、慌てて上のドアから室内に入ったんだ。そしたら追ってこなくて……」
「どうしましょう、
「ああ、危険だな」
しかも
移動速度の遅れを考慮すると、コテージに着く頃にはとっぷり夜が更けてしまうだろう。
止血が完了するまでは動かさない方がいいしな。
俺と
それならまだ、この建物内に留まって朝を待つ方が確実性が高い。
窓だった場所はシャッターが閉じ、入り口も室内のテーブルや椅子を使えば籠城も可能。
明日の朝、マネージャーが警察なり自衛隊に通報して連れてきてくれるはずだし、食糧も頼んであるから届けてくれると思う。
それまでここで大人しくしていた方が、生存率は上がる……はず。
「テーブルにカーテンをかけて簡易ベッドにしよう。
「そうですね。わかりました」
「は、はい。今夜はここに泊まるんですね……」
「
「す、すまん」
室内を確認するが、教室のような場所だ。
前に黒板、後ろにロッカー。
椅子やテーブルも学校の教室にあるアレだ。
テーブルは八つを二列、縦にしてカーテンを上にかけて完成。
残りをバリケードに使い、
清潔か、と言われると自信はない。
ハンカチもずっとポッケに入っていたやつだし、ペットボトルの水は俺の飲み水だ。
だが、他に水はないから我慢してもらう。
傷口はかなりパックリしていて、鋭利な刃物でスパッとやられたかのような……。
「新種のゾンビが持っていた武器っていうのは、剣か?」
「い、いや、なんかこう、小さな斧みたいなやつだった。他にも三日月みたいな形の剣みたいなのを持っているやつもいたけど、鉄パイプみたいなのもいた」
「結構多種多様だな」
「あ、ああ……それに、明確にこっちを殺そうとしてきた」
「ふぅむ」
多分地下に出るやつだな。
なんで地上に出てるんだよ……!
「もし今夜、この建物内に敵が出ないようならここは安全性が高いかもしれない。コテージよりも不便だが、怪我をしている
「そうですね。ベッドも向こうから私が運んできますよ!」
頼もしい〜。
「……見捨てないんだな」
「え?
「うん、そうだな」
見捨てる、という選択肢が——ゲーム内ならば出ている。
しかし
正直
別に
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