予定の話し合い 2
「よし、じゃあ午前中に食材探し。昼過ぎから駐車場側で俺のマネージャー待ちをやろう。
「アスレチックエリアを? なんでそんなところ調べなきゃならないんだ?」
「隠れて生き延びている人が他にもいるかもしれないだろ? それと、俺たちが会ったあの玄関のないビル……あれはアスレチックエリアにあったものだと思う。玄関がない時点で、なにかしら俺たちが巻き込まれていることと関係あるんじゃないか、って思うんだ。ゾンビも多かったから、無理はしなくていいけど、改めてもう一度、明るい時間に調べておいた方がいいんじゃないかと思ってさ」
実際ゲーム内でもあのビルが、ラスボスステージへの『入り口』となっていた。
ゲーマーの勘がそう告げている。
「ゾ、ゾンビが中をうろうろしているんだぞ? 本気かよ?」
「交渉に使えるカードは多いほどいいだろ。自分たちの身を守るためだ」
「それはそうですけど……」
「だから無理はしなくていいって。でも絶対になにかあるだろ。玄関がないのに、最初から中にゾンビがいたんだからさ。あそこでゾンビの研究をしていて、そこから逃げたゾンビがキャンプ場でバイオハザードを起こしたのかもしれない。もしなにか手掛かりがあれば、俺と
勝手に巻き込んで申し訳ないが、
でも
適当な設定の多い『おわきん』だが、DLCに払ってない俺としては無課金で
このクソゲーを無事に乗り越えられたら、俺は元の世界に戻れる……かもしれんし?
「はい、私もあのビルの中は気になっていました」
「待ってくれ、
いっそ清々しいクソ自己中野郎全開で草ァ!
「調べに行くのなら、四人で行った方がいいと思います」
お前もか
俺の説明は聞いていだはずだよな、お前たち。
「だ、だからさ。俺と
「もしかしたらそのまま外に出られるかもしれないだろ!」
「そうですよ! わざわざ危険なところを調べに行くなんて嫌です! しかも、僕たちは
「お前たちだけで外に出ることになったら困るしな!」
「む、むう」
「そうだ、やってみましょう!
「え?」
ここでまさかの
な、なにが?
やってみるって、なにを?
「この新しく手に入れたレックパーツ、すごく高く跳べました。一人一人を担いで、フェンスをジャンプしたら外に出られるかもしれませんよ!」
「なるほど!」
確かに、ハーピーを叩き落とすほどのジャンプ力を誇る。
レックパーツを使えば俺たちを一人一人抱えて三回ジャンプして外へ運ぶこともできるかもしれない。
「でもマジでマネージャーがどんな車で来るのかわからないからな!」
「ぐうっ!」
「そ、そうでした……」
「うおおぉ……! そうだったぁ!」
どちらにしても全員同じ車で一気に脱出は不可能だと思え。
たとえキャンプ場から無事に脱出しても、待っているのはうちのマネージャーが迎えに来るまでの数時間——少なく見積もっても三時間をなにもない森に囲まれた駐車場で待つとてつもない不安な時間だぞ。
まあ、三時間でも安全なキャンプ場外で待つのはマシかもしれない。
でも俺の記憶だと、なんか無理だったんだよなぁ。
ゲームの中でフェンスに近づくと、パワードスーツが機能停止する仕様だったんだわ。
もし現実でも同じ仕様だとしたら、絶望では?
「でも、まあ、試してみるのはアリだな」
「そ、そうですよね!」
「うん、明日試してみよう。でもダメだった時は潔く諦めてうちのマネージャーに救助をお願いしよう」
「そ、そうですね」
そうそう。
あまり高望みはしない方がいい。
その方が精神的ダメージも低い。
助かる、という希望があまりにも眩しいのだ。
助からなかった時の絶望感が大きくなりすぎないためにも、ほどよくダメだった時のことを考えておくのは、精神衛生的に必要だ。
「お腹もいっぱいになったし、コテージに行くとするか」
「そうですね」
「くっそー……いつになったらこのヤベェ状況から助かるんだよ!」
「せっかくお腹いっぱいになったのに、先が遠く感じますね……はぁ」
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