第5話
「え? どういうこと?」
「どういうことも何も、夕飯の準備は優子の仕事だろ。もう俺、腹ペコだぜ」
私のヒモ状態に甘んじている、いつもの彼だった。
普通に生きているし、死んだ痕跡も全くない。
ならば……。
私が彼を刺し殺したこと。あれは、悪い夢だったのだろうか?
「うん。わかった……」
納得はいかないが、そう理解して現状を受け入れることにして、
「待たせてごめんね。急いで支度するから、もうちょっと待っててね!」
わざとらしいほど明るく、彼に声をかける。
口では「待たせてごめんね」だったが、心の中では「夢の中とはいえ、殺しちゃってごめんね」という気持ちだ。
謝罪の意味も込めて、今日は腕によりをかけて御馳走を用意しよう。私はそう思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます