第29話 過ぎ行く時間の中で

ふと佇めば

通り過ぎていく

風の音

まだ遠いと思っていた

秋の色は

道端で揺れる彼岸花

人の心を

一瞬にして染めていく


まだ眩しさを帯びた

夏の忘れ物はあるけれど

季節は巡り

時間だけは動き続ける


遠く離れた

あなたの街も

秋色に染まり

あなたの時間が過ぎていく


それぞれの時間は

遠くで響きあいながら

重なることも

交じり合うこともないけれど

心に結んだ絆は

あなたも私も

向き合って見つめてる

心で手を繋ぎ

心でキスをして

心で抱きしめあって


そう思っていいよね


どこにいても

どんなに離れていても

空は繋がっている

星は煌めいている

月は見つめてる


同じ空を見上げた時に

二つの心は重なるから

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