第2話
『あれ、何だ』
**接敵:ナンデモ街 路地裏
「やっと見つけましたよ、ツグナさん」
──カルエナ・トルマリン(ジャスティス 階級:C)
「戻るなら今の内だ。お願いだから、考え直してくれ」
──ジルシン(ジャスティス 階級:A)
「あれは誰?」ルノイが問う。
『…俺の同期。仕事仲間だった人達だよ』
「だった、って…俺たちはまだ仲間だろ」
ジルシンの言葉は熱を帯びていた。けれど、俺は敢えて冷たく返事をする。
『違うよ』
「違わないです!」
カルエナが大声をあげる。
『じゃあ、どうしてその腕にギアをつけてるの』
「それは」
ルノイは俺の背中から飛び降りると、黒のスライム状に変化して腕のギアの中に滑り込んだ。
ギアの定める階級が上がる毎に、炎、氷、風、雷といった属性が使えるようになるのだが、階級:Fで使えるギアの機能はごく一部だ。
しかし、ルノイがギアに干渉することによって、どういうわけだかは分からないが威力自体を上げることなら出来る。
**ギア:モード刃
『ごめん、邪魔なんだ』
俺は二人に向けて飛び込んだ。
*
何分くらい二人と戦っていただろう。
「もうわかった、降参。降参だ」
ジルシンが白旗を上げた。
**戦闘終了:勝利
膝から崩れ落ちる。
俺の体は火傷や切り傷だらけになっていた。
カルエナはギアを大破した。
一方で彼には全く怪我がない。
『そういう所が、嫌いだ。下に見られてるみたいで』
「…そうか」
悲しそうな顔をするジルシン。
「ツグナ。このまま、ルノイ君と一緒に逃げてくれ」
カルエナは俯いて、黙っている。ジルシンは続けた。
「お前の意志を尊重したい。だから、誰にも負けるな」
彼は自分のギアを外すと特殊なモードを入力した。すると、たちまち機械はバグを起こし、電気を放って壊れていく。
俺は二人の間を通って、ルノイの手を引き、先に進む。カルエナの小さな嗚咽が聞こえた。
「またな」
何も返さなかった。
──
ツグナ・カドムラ
年齢:18
所属:ジャスティス
階級:F+
各属性の使用が認められていません。
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