第13話 負け組
ふいに、ふたりの顔にライトが当たる。
その眩しさに
柚月たちは目を細めた。
しかし
「あっれぇ〜っ? 女の子がふたり、こーんなところでなにしてんのかなぁ?」
「もしかして…君ら、A組さん? その様子だと中等部の新入生?」
「確か、対戦間近にフィールドに来るのってマズイんじゃなかったっけ?」
いきなり聞こえてくる明るい声に
思わず拍子抜けをする。
「1年坊主、頑張って早くA組は脱出しろよな。これが2年生や3年生、高等部になってもA組なら、ここにいる限りずっと負け組扱いになるぞ」
「辛くて転校してったヤツもいるしな」
目を凝らすと
ちゃらちゃらした男子生徒が3人立っている。
よく見ると
彼らは青い腕章を右腕に着けていた。
そこに銀色の星のピンバッジが2つ付いているところを見ると
彼らは中等部の2年生ーーしかもB組だ。
わたしたちA組はまだ1年だからか黄色の腕章だけでなんのバッジも付いてはいない。
これが高等部になると、腕章は中等部と同じだがピンバッジの色は金色になるらしい。
「…てか。こいつら玩具(銃)渡されてない時点で絶対負け組じゃん」
「毎年不幸にもA組になるヤツはいるけれど。特に今年の新入生は多いって聞いたぞ」
「知ってる知ってる。学科が良いから受かっただけってもっぱらの噂だ。腕の方はからっきしだってさ」
黙って聞いていれば散々な言われようだ。
「…わ、わたしたちは……」
何を思ったのか
いきなり紗織が口を開く。「クラス分けでA組になった時点で負け組です」
後ろ向きな返答だ。
「ちょっと紗織…それ認めてどうするの?」
「だって他に言いようがないじゃない」
紗織の気持ちもわからなくはない。
わからなくはない…けれど。
まだわたしたちは対戦をしてはいないーーただ入学時にA組に選ばれただけだ。
だったら
今から…のし上がっていけばいい。
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