デートをしませんか?
「スズネちゃん、どうしたの突然、え、よく俺の家がわかったね?」
「えへへ~、この前一緒にミサカちゃん先輩とおしゃべりした時にお二人のお家の場所を教えてもらったんですよぅ。今日はせっかくの日曜日ですし、思い切って行っちゃおうかなぁと思いましてぇ、気がついたら玖球に足がシュタタッと向かって来ちゃいましたぁ。セブンイレブンの坂を上がった先の大きなお家が特徴的でミサカちゃん先輩とろうえい先輩のお家はすぐに見つけられましたよぅ」
んー、特徴的かなあ? まあ作業場とか作ってあるからトラックが入りやすいように庭も広めに作ってあるけども。ま、美咲花の家は確かにデカいかなぁ。庭に趣味で作る野菜用のビニールハウスもあるんだぜ。ま、それは今はいいとしまして。うん、つまり話を聞く限りは日曜日だから美咲花を遊びに誘いに来たというわけだ、こっちに来たのは俺に挨拶をしに寄ったというわけだろう。
「あのぅ、ところでぇ~、どうでしょうか今日のこの
スズネちゃんはちょっと照れくさそうに指先をモジモジと交差させて期待な眼差しで俺に問い掛けてくる。うむ、俺は女の子のファッションてのはサッパリわからなくて申しわけないのだが、この期待する眼差しには応えないとな。えと、その膝上のシンプルボトムズという黒いスカートが大胆に太ももを晒してて黒のニーソックスと併せた絶対領域がもの凄い強調された破壊力が正直ヤバい。これはちょっと目のやり場に大変困ってしまいます。あと、その
「うんうん、俺的にはアリ寄りのアリだねっ。すんごく可愛いよ。スズネちゃんの着こなしが上手なせいかな、洋服がスズネちゃんと一緒に喜んでるって感じがする」
「わあぁ、ろうえい先輩に可愛いて言ってもらえちゃいました、着こなし上手と言ってもらえましたぁ。あはぁ~、コレはスズネ冥利に尽きるというものですねぇ~。思い切ってひとめぼれした攻め攻めコーデを選んでよかったですぅ。この子達も喜んでいますよぅ。えへへぇ、これは嬉しいが押し寄せてきてどうにかなっちゃいそうですねぇ。よしよし、スズネの灰色の脳細胞にはろうえい先輩は攻め攻めがお好きとサプゥラアァイズな
うーん、その反応は可愛くて大変よろしい。これは俺の方がどうにかなっちゃいそう。だけど、攻め攻めがお好きは誤解を生みそうだからやめてください。そのサプゥラアァイズなフューチャーとやらにはちょっとドッキドキのワックワクだよねと期待しちゃいますけど。
「ところでぇ、隣の方はもしかして、お父さまですかぁ」
「ん、隣のかた?……ウゲッ」
言われて横を見ると、我が家の
「なあなあ郎英たん? このアイドルみてえなキュートでステキなお嬢さんはどなた? めちゃくちゃ親しそうじゃねえのん?」
「何が郎英たんだよ気持ちわりぃな。教えるからその喋り方もやめろ。こちら、同じ
「はい、
「あぁ、こりゃあどうも、ご丁寧に。郎英の父の
スズネちゃんの気さくで丁寧な自己紹介にグッと心を掴まれたようなデレッとした顔をした太郎もお調子者な自己紹介を返した。おい、さり気に鼻の下伸ばすのやめろや。
「しっかし、郎英にこんなに可愛い後輩ちゃんがいたなんてなあ、ハハ、つかぬ事をお聞きしますが、もしや郎英に告白をしたというのはお嬢さんで?……な、わきゃないよねぇ、こんなアイドルみてえに可愛いお嬢さんがうちの息子を好きになってくれるなんざぁ天地がひっくり返ってもな──」
「はい、そのとおりですよぅ。ろうえい先輩に告白をしたのはこのスズネ、知念鈴音ですっ」
「──っ、
「ですです、生まれて初めての男の人への告白、いつかフォーリンラブという恋恋キュートな一目惚れなのですっ」
「おおう、言ってる事はよくわかんねえけど、うちの
「聞かんでええッ。はいはい、興味津々は塵一つ残さず消滅しました。スズネちゃん、このおっちゃんの事はサラッと無視していいから。ああほら、美咲花を遊びに誘おうと思ってここまで来たんでしょ?」
これ以上は話を大事にしてくれやがりそうないやな予感がするので話を大胆に切らせていただく。ほら、そこの三十八歳児、唇尖らせて残念そうな顔すんじゃないっ。スズネちゃんは別に俺の方に用事があるわけじゃねえんだから。
「いえそれがですね、美咲花ちゃん先輩にはスズネ、昨日の通話の時点でデートのお誘いを断られてしまったのですよぅ」
「え、そうなの?」
「はい、しかし今日は天気の良い日曜日、是が非でもお出かけしたいモードになったスズネは、ろうえい先輩をデートのお誘いにやってきました。ろうえい先輩が良ろしければ、スズネとデートしませんかぁ」
「「おデートォぅっ」」
スズネちゃんのデートというお言葉に親子でハモってしまうとスズネちゃんは「ですです」とホンワカ笑顔で肯定した。
「あの、スズネちゃん。それは俺と遊びに行くという事かな? あの、俺たち別にお付き合いをしているわけでは無いのでデートをするとはちょっと違うのでは?」
「考えがお堅いんですよぅろうえい先輩。大好きな人と遊びに行くというのはスズネ調べでは全てデートになるんですよぅ」
「そ、そうなの?」
「はぁいそうなのです。あとぉ、一応の告白を済ませて一歩リードなスズネなんですけど最近一気に恋のライバル競争が激化する予感がして、ウカウカしてはいられない現実がハチャメチャに押し寄せてきてしまっているのです。きっと
「いやいや、そんな試合を一本するように言われましても」
うん、その申し出はとても嬉しい事ではあるけど、ちょっと急が過ぎますぞスズネちゃん。残念ながら今日の俺の予定はそこの
「郎英、こっちの事は気にせずにスズネお嬢さんとデートしてきなさい。あ、おこづかい渡しとこうな。チャッチャラ~
「どこぞのドラが道具出すみたいにポンと大金出してんじゃねえよっ。てか、そっちの手伝いはどうすんだ──」
「──パカヤロウッ。おめぇこんな可愛い子が家までやってきてくれてデートのお誘いまでしてくれてんだぞ、この一万円の投資も宝くじに金ぶっ込むより価値があるってもんよ。いや、この状況は宝くじに当たる確率よりも低いねっ。ええか郎英、
凄い勢いでまくし立てる我が親。お目目が血走っている。てか、その不名誉すぎるあだ名があったなんて初めて聞いたけど、いったいどんだけ壮絶にモテない人生を積み重ねて来たんだ太郎よ。てか、んなハンディキャップ背負いたかねえんですけど。まぁそれは知らんけども……確かにここまで来てくれて断るのも悪いよなぁ。
「じゃあ、スズネちゃん。俺とデートしましょうか?」
「はぁい、よろしくお願いしまぁすッ」
という事で次回、ドキドキデート編スタートします。の前に、着替えてきます。
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