俺のことが好きなの?
もりくぼの小隊
プロローグ――運命を信じますか?――
「運命を信じますか?」
電車の中、
「はい、信じます」
耳の近くで響く透き通った声に俺は動きをピタリと止める。なんだ、すぐ隣りに誰かいるのか?
俺は眼だけをゆっくりと横に動かして、隣を見た。
そこには、上着の茶色いブレザー制服を着た女子が俺の横に立っていた。上着と同じく茶色を基調としたテッキングタータンチェックの制服スカートを見るに俺と同じ「
俺の直ぐ側で、彼女はこちらを真っ直ぐと見つめてくる。
「……運命を信じます」
艷やかな唇を震わせて彼女はもう一度、答えた。それは、自意識過剰と感じなければ、俺に向けられた言葉であり、丸い飴玉のような茶色の眼は瞬きもせず、ずっと俺を見つめ続けている。
緩くウェーブの掛かった長い髪を細い指で梳き直しながら、白い頬を紅葉させて、丸い飴玉のような瞳は潤みを増して、俺が次に紡ぐ言葉を待っているようだった。俺は、眼を一度瞑り、息を小さく吐いてから、もう一度顔を向けて、率直な言葉を彼女に伝えた。
「……あの、ごめんだけど、きみは」
彼女には確かに見覚えがあった。
これが「
――そして、時は数日さかのぼる
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