第9話 毒きのこハウス

紫色の屋根の前についた。


「「「思い出した!」」」


「「「毒きのこハウス!」」」


えっ? なに?


「そうか、この家だったか」

「なに? 毒きのこハウスって」

「あ~まぁ~いろいろ噂があってね」


「とりあえず、リンさんに話を聞こう」


トンットンッ


「こんにちは」

「……」

「こんにちは、リンさんのお宅ですか?」

「ん? はい、ちょっとまって」


どうやらいるようだ。

中から女の人がでてきた。


「だれ?」

「あの、お聞きしたいことがあって」

「なに?」

「図書館の本をみていて作者か寄贈者かわかりませんが、善という字が書かれていました」

「あ~善吉おじいさんの」

「はい、やはりおじいさんですか?」

「それがなにか?」

「そのおじいさんのことをお聞きしたくて」

「……」

「あの~」

「きっと話をしたってだれも信じないさ」

「えっ?」

「結局だれもおじいさんの話を信じる人はいなかった」

「えっ? どういうことですか?」

「まあ、なんでもないよ話すことはないよ。帰っておくれ」

「えっ、教えてください」

「帰っておくれ」


わたしたちは家から追い出された。


「昔になにがあったんだろう」


「そういえばなんで毒きのこハウスって呼ばれているの?」


わたしはそのことが気になっていた。

ルークたちがわかる範囲で教えてくれた。


「それは、むかしこの家で実験が行われているって噂があったんだ」

「そうそう、あったね」

「実験って?」

「なんの実験をしていたのかはわからないけど、そのせいで家の色がちょくちょくかわっていて今は紫だけど最初は赤だったんだ」

「色がかわるの?」

「だろ? だからおかしいって噂が。薬品が充満して、家全体が紫になったんだと……」


色が変わるわ、怪しいわで毒きのこハウスって呼ばれるようになったんだね。


「でも、薬品ならビリーさんなにか知ってるかも」

「そういえば、ビリーこの家に通っていたことあったよな」

「ん……あった」

「やっぱり、なにか知っているかも。帰ってきいてみる」

「そうだな」


とりあえず今日は帰ることにした。


南通りを歩いて帰ることにした。

すると、びっくり!!

北通りとは違って南通りは商店街のように栄えていた。

こびとたちもたくさんいる。

大人のこびとから子供のこびとまで、そして老人。


「え~なにここ」

「驚いただろ」

「ここにはおいしい食べ物や洋服、雑貨などいろいろ売ってるんだ」

「売っているってお金はあるの?」

「お金?」

「ああ硬貨のことか」

「あるよ。でも物々交換がほとんどかな」

「昔、硬貨が作られ硬貨で売買してたころもあったけど定着しなかったって聞いてる」

「そうなんだ」

「おれら若者はまだ動けるからミルクや卵をとりにいって物々交換してあげるとよろこばれるんだよ」

「なるほどね」


あの時のおばさんの『ありがたいねぇ』ってそういうことだったんだな。


それにしても、賑わっているね。


「ルナ、見てこの服」


ステラがキラキラした目をしながら、こっちを見てきた。

そこにはピンクのワンピースに水玉模様かな。

とてもかわいらしい服が飾ってあった。


「かわいいね」

「そうよね、かわいい」


ステラがすごくかわいい女の子に見えた。


「こっちのネックレスもかわいいね」

「うん、ステラに合うと思うよ」

「そうかな~」


ステラはすごくうれしそうだ。


「ステラはここにくるとなかなか帰らなくて困るよ」


レオンがいった。


「いいじゃない、見たいんだもの」

「おれらはここにいてもしょうがないから、あっちみようよルーク」

「そうだな」


ルークとレオンは違うお店を見にいった。

わたしは久しぶりのショッピングでたのしかった。


「ルナがきてきくれてよかった、だってレオンたちと服とか見れないんだもの」

「たしかにそうだね、男の子たちは飽きちゃうかもね」

「ルナ、よくわかってるぅ」


だって、お父さんがいつも女のショッピングは時間がかかるっていってたもんな。

わたしたちの買い物中はお父さんはたしか、本屋かゲーム屋にいた気がする。


「ルナ、またこんど一緒にきてくれる?」

「うん、いいよ」

「ありがと」


わたしたちはそのお店をでた。

ルークたちはどこにいったんだろう。


「ルークたちはたぶんここだと思う」


ステラがつれてきてくれたところは、木の実ジュース屋だった。


「ほら、やっぱり」


木の椅子に座って2人はジュースをのんでいた。


「ルナも飲むか?」

「うん」

「何がいい?」


メニューをみるとブルーベリーにストロベリー、木イチゴにラズベリーそしてヤマモモの5種類もある。


「ん……ヤマモモがいい」

「おぅ、甘くておいしいぞ」


ヤマモモってどんな味だろう。

ルークが買ってくれた。


「ルーク、ありがとう」

「いいよ」


さっそく、ヤマモモジュースを飲んでみた。

モモとは違った。

酸味が強いが甘味もある感じ。

ちょっと青臭さもある感じだろうか。

まあ、でもおいしい。


「どうだ、味は」

「うん、おいしい。そんなに甘くないんだね」

「そうだな、ストロベリーよりは甘くないかな」

「うん」

「夏になるとスムージーになるんだ」

「スムージーは冷たくておいしそう」

「そう、よくわかるな」

「まあ」

「また、飲みにこような」

「うん」


わたしは、このままずっとこびとのままなのだろうか……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る