第7話 ビリーさんのお仕事
家族のことを考えていたら、あまり寝れなかった。
ちょっと、目もはれてるかもしれない。
「ルナ、起きたかい?」
ビリーさんが1階から呼んでいる。
「は~い、今いきます」
着替えをして1階に降りて行った。
「ビリーさん、おはようございます」
「おはよう。朝食にしようか」
「はい、運びます」
今日はパンにオムレツ、そしてサラダだった。
本当に毎日おいしそうだ。
「オムレツ、おいしい」
「それはよかった」
「かかっているトマトソースもおいしいです」
「さすがだね、トマトソースもわかるんだね」
「えっ、はいわたしトマト大好きです」
「そうかトマトおいしいよね」
「ルナは今日はどうするんだい?」
「今日は今のところ何も予定はありません」
「じゃあ、わたしの仕事を手伝ってくれるかい?」
「えっ? 薬のお仕事ですか?」
「うん、そうだよ」
「えっ手伝いたいです」
「じゃあ、片づけたら地下室にきてくれ」
「はい、わかりました」
食べ終わった食器を水の入った桶に入れ、そこに石鹸を入れその中でお皿を洗います。
洗い終えたら水の入ったタンクの水で洗い流します。
最近は食事を作ってもらうかわりに、わたしが食器を洗うことにしました。
わたしには、こんなことしかできないからね。
歯磨きをして地下室にいった。
「ビリーさん」
「ルナ、きたか」
「何をしてるんですか?」
「今はカミラさんに頼まれたせき止め薬を調合してるんだ」
「せき止めですか」
「これをカミラさんの家に届けてもらいたいんだ」
「はい、わかりました」
「カミラさんの家はルークの家の奥隣だよ。お願いできるかな」
「はい、いってきます」
わたしは、せき止め薬を受け取りカミラさんの家に向かった。
えっと、まずは左に行く。
左右に5件目がルークの家。
その奥の隣の家がカミラさんの家だな。
ここかな?
「こんにちは」
「はい」
「カミラさんのお宅ですか?」
「はい」
男の人が出てきた。
「どなた?」
「あっ、わたしビリーさんに頼まれてお薬をお持ちしました」
「ああ、薬。ありがとう」
奥にいたカミラさんがきた。
「ありがとう」
「あ、お体は大丈夫ですか」
「うん、ありがとう……ごほっごほっ、薬のおかげで……ごほっごほっ、だいぶいいよ」
あまりよさそうには思えないけどな~すごく辛そうだ。
なんか、喘息のようなヒューヒューって音が聞こえる。
ん~
「ビリーにお礼いっておいて」
「はいわかりました。お大事にしてください」
「うん、ありがとね」
カミラさんの家をでると、ちょうどルークの家の前にステラがいた。
「ステラ!」
「あっ、ルナ!ここでなにしてるの?」
「カミラさんに用事があって」
「そうなんだ」
「ステラは?」
「ルークと遊ぼうと思ってきたの」
「そうなんですね」
「ルナも一緒にどう?」
「わたしは今ビリーさんのお仕事の手伝い中なので、すみません」
「そっか、じゃあまたね」
わたしは家に帰ってきた。
「ビリーさん、ただいま戻りました」
「おかえり」
地下室にいくと、ビリーさんがまだ薬の調合をしていた。
「ルナ、ありがとう」
「いえ」
「カミラさんはどうだった?」
「なんか話をするのもきつそうでした」
「そうか、あまりよくなってないんだな」
「あの~せきが喘息っぽい気がするんですけど……」
「ルナは喘息を知っているのかい?」
「あっはい」
「喘息かぁ~」
ビリーさんはおもむろに薬の調合をし始めた。
喘息という言葉が通じるとは思わなかったな。
薬もそうだけど、食べ物も人間界の言葉と同じなんだよな~
人間が話をしていることを、こびと族が聞いて使っているのかな?
今のところ通じない言葉はない。
何か秘密がありそうだな。
今度ビリーさんに聞いてみよう。
今はちょっと話かけられる感じではないな。
めっちゃ、調合に集中してるじゃん。
喘息の薬を調合してるのかな?
「できた!!」
ビリーさんが叫んだ。
あ~びっくりした!!
「ルナ、これをカミラさんに届けてくれるかい?」
「カミラさんにですか?」
「うん、ルナのおかげだよ」
「えっ?」
「説明はあとだ。とにかく早くカミラさんに飲んでもらうんだ」
「はい、わかりました。いってきます」
わたしは急いで、カミラさんの家に向かった。
「こんにちは、カミラさん!」
「はい」
でてきたのはカミラさんだった。
「どうした……ごほっごほっ」
「これを今飲んでみてください」
「なんだい……ごほっ、これは」
「新たに調合した薬です」
「さっきのとは……ごほっ、違うってことかい?」
「はい、これを飲んでください」
「わかったよ……ごほっごほっ」
カミラさんはすぐに薬をのんだ。
すぐに効果があらわれた。
「なんかちょっとよくなった気がするよ」
「そうですね、話すのが楽になってる気がします」
「そうだね、楽になった」
「よかったです」
「ありがとう」
あ~あ、よかった。
急いでビリーさんに伝えたくて走って家に戻った。
「ビリーさん!」
声をかけながら地下室に向かった。
「どうだった、ルナ」
「カミラさんよくなりました」
「そうか、よかった」
「ビリーさん、すごいです」
「今回はルナのおかげだよ」
「えっ? わたしですか?」
「そうだよ、ルナが喘息に気づいてくれたから薬を作れたんだ」
わたしでも役にたててうれしかった。
「ビリーさんは喘息という言葉をどうして知ってるんですか?」
「それは、本で見たことがあるんだよ」
「本?」
「そうだよ、このローデン村にはたくさん本が置いてある場所があるんだ。」
「図書館?」
「そう、ルナは物知りだね」
「図書館に行くと料理の本や、生き物の本、人間界の言葉の本などたくさんあるよ」
「行ってみたいです」
「ちょっと説明しづらい場所にあるからルークと行くといいよ」
「わかりました」
図書館にいったら、言葉の秘密が何かわかるかもしれない。
そして、わたしがこびとになった理由もわかるかも……。
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