第2話

 「……はぁ」

思わずため息が漏れてしまう。

だが、いくら嘆いたところで現実は何も変わらないのだ。

とにかく今はできることをやるしかないか……。

まずはこのステータスに合った戦い方を考えないとな……とりあえず魔法に関してはほぼ使えないと思っていいだろう。となると使えるのは体術と格闘技のみということになる。

しかし魔法なしでどうやってあのクソどもと戦うんだ? 正直まともに戦ったら勝ち目がないぞ……。

やはりここは逃げるしか……いやダメだ! 逃げればアイツらは確実に私の大切な人達を殺しに行くに違いない! それだけは何としても避けなければ! となると戦い方を工夫するしかないな。

魔法以外の攻撃手段といえばこの体技と格闘技の二つだけ……

体技の方はなんとなくわかるのだが格闘技とは一体どんなものなんだ?

うーん、よくわからんな。

まあそれはおいおい覚えていこうと思うが問題はもう一つの格闘技についてだよな。

おそらくこちらの方が重要度は高い気がする。なぜなら魔法も使えず剣や槍といった武器もない今の私にとって一番必要なのはこれだからだ。

もしこれを習得できればかなり勝率が上がるんじゃないか? そうと決まれば早速やってみよう!

「お嬢様いかがなされました?」

「えっ!? いやなんでもないわよ!」

突然声をかけられ驚いた私は慌てて返事をした。

どうやら考え込んでいるうちに随分時間が経っていたようだ。

メイドさん達が心配そうにこっちを見ている。

いけない、集中しすぎて周りのことが全然見えていなかったみたいね。

そんなことを考えながら気を取り直して再び格闘術の練習を開始することにした。

「よし、それじゃあいくわよ……」

こうして私の地獄の特訓が始まったのである。〜〜〜〜〜〜 それから三ヶ月ほどたったある日のこと 今日はいよいよ学園に入学できる日だ。

あれからも毎日必死になって練習してきたかいあってようやく人並みには動けるようになったしこれで少しはましになるといいんだけどな。

ちなみに剣術についてはまだ全くといっていい程進展はない。

というのもいくら頑張ってもうまくいかないのだ。

恐らくセンスの問題だと思うがはっきり言って絶望的だ。

一応親父にも教えてもらったが才能が全く無いらしい。

くそったれめ! もう諦めた方がいいんじゃねえか? と言われた時は本気で殺意を覚えたものだ。

でも仕方ないだろう、あんな奴らに負けないためには一刻も早く強くならなければならないのだから。

それにしてもまさかこんな形で人生初の挫折を経験することになるとは夢にも思わなかった……。だがそれも今日までの話だ! 私は絶対にあいつらをぶっ殺せるくらい強くなるんだからな!! そしていつか必ず復讐を果たしてくれる!!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る