兄がすごいです
思念発動という事は、俺が思ってる無詠唱の事だと思うんだけど、どうなんだろうか?
一応、アル兄に確認してみると、
「思念発動というのは、アーツ名を言わないでアーツを発動する事ですか?」
「そうだよ。スキルは僕も剣術と体術は使えるけど、魔法とエクストラスキルは使えないからね。何でも、思念発動出来る人は、超級アーツを極めた熟練者じゃないと到達できない最高峰って言われているんだよ。予想ではスキルレベルが10になれば出来ると思ってたけど、そうっぽいね」
やっぱり、無詠唱と思ってた事が思念発動みたいだな。スキルレベル10で使えるのは、俺も正解だと思ってる。
それにしても、アル兄はかなり勉強してきたみたいだな。俺の知らないこちらの世界の事をたくさん覚えてきたみたいだ。
「アル兄、すごいです。ここまでよく鍛えましたね。驚きました」
「リオンちゃんだけずるい。ママもアルスちゃんのステータス見たいわ」
「お母様にも見て頂きたいので、ステータスプレートを出しますね」
アル兄はステータスプレートを出して、魔力を流しステータスを表示し、コウガ、マリー、リカルド、ミランダの順に見せていった。
「アルス、よく頑張ったな。普通にすごいぞ」
「アルスちゃん、本当に普通にすごいわ。これは学校でも一番強いんじゃないかしら」
「アルス様、たくさん努力されたのですね。普通に素晴らしいです」
「アルス様、本当の本当に普通に素晴らしいです」
何だろうか。
なぜか普通っていうのを強調されているのは気のせいだろうか。
普通にすごいとは普通なの?すごいの?どっちなんだろうか?いや、すごいって事なんだろうけど。
普通にすごいの上に最高にすごいが存在するというのだろうか。
まあ、それはいいとしてアル兄はかなり頑張ったんだな。スキルと魔法のレベルが均等に上がっている。上げやすいところまで上げて、ステータスアップをしてるな。今は火魔法と身体強化をメインに上げているのかな。あと鑑定も結構上がってるな。
それに、リカルドからの呼び方が坊ちゃまから様に変わってる。俺はまだ坊ちゃま呼びだよ。大人として認められたのだろうか。
俺が邪推な事を考えていたら、アル兄が話を戻してくれた。
「ありがとうございます。それよりも話が脱線しちゃいましたが、お父様はもしかしてエクストラスキルを覚えられなかったのですか?」
「そうなのよ。パパもママもリカルドもミラもリオンちゃんに教えて貰ったやり方で上手く覚えられなくてね」
「アルス、何かコツがあるのか?」
「僕もコツがあるなら聞きたいです」
俺もどうしてエクストラスキルが覚えられないか分からなかったから、コツがあるなら聞いておきたいな。今後誰かに教える事があった時に重要になってくるからな。
「コツというか、ファイアボールを放つ時って手のひらに魔力を集めて、その魔力をエネルギーに変えながら、どんどん高めて放っていると思うんですけど、僕が最初身体強化を覚える為にやってたのは魔力操作で魔力を全身に流すだけだったんです。魔力操作って魔力消費がないから、それだけじゃダメだと思って、ファイアボールの時のように魔力を高めていけば出来るかなと思って、全身に巡らせた魔力を爆発的に高めるイメージでやったら成功しました。同じ要領で鑑定も出来たから、これで覚えられると思いますよ」
ああああああああ。
そっか。俺は漫画やアニメで身体強化のイメージがある程度わかっていたが、覚えられなかった家族のみんなは俺の書いたマニュアルと説明だけしかない訳で、そこに魔力量を上昇させながらとか魔力を爆発的に高めるとか聞いてないから、そこまでしないよな。俺もそこはマニュアルに書いてないし説明もしてない。というか、そこまで考えてなかった。何か魔力を身体全体に流せば出来るよねって思ってたぐらいだ。
うわあーーー。
どや顔でマニュアル説明してた時の自分が今になってめちゃくちゃ恥ずかしい。かなり熱く語ってしまったからな。
俺が恥ずかしがって悶えてる時に、コウガとマリー、リカルドとミランダが身体強化と鑑定を試していく。
結果、あんなに苦戦していたエクストラスキルの取得をいとも簡単に行ってしまったのだった。
アル兄がすごすぎる件について。
普通なんていらないよ。最高にすごいよ。いや、さいすごだよ。
「アル兄、すごすぎです。よくこんな事を思いつきましたね」
漫画やアニメのイメージがないアル兄が思いついたのは本当にすごいと思う。実際に俺の身体強化をしっかり見ていた訳じゃないからね。
俺は素直に褒めたたえた。しかしカウンターを貰ってしまう事になる。
「いやいや、すごいのはリオンの方だよ。僕にはあんなすごいマニュアルは作れないからね」
やめてーーー。
今、それを言われるのは、恥ずか死ぬ。
ごめんなさい。ちょっとだけ自分が強くなったから調子乗ってしまったんです。だから、そんな素直なキラキラした目で僕を見つめないで下さい。
まあ、冗談はここまでにして、俺は家族みんなと色々な話をした。
主にアル兄の学校での話がメインだったが、ある程度話終わったタイミングで俺のダンジョン攻略の話になった。
そして、そこから俺のステータスの話になり、ステータスプレートを見せて、アル兄に本気で驚かれ、他の家族には乾いた笑いをされた。こらっ、そこのミラさん、引くんじゃありません!!
「あははは、リオンは本当にすごいね。昔から努力が凄まじかったけど、ここに来てさらに勢いがましたね」
「ちょっとやり過ぎた感じはありますけどね」
「ちょっとではないがな」
やっぱりちょっとではないみたいだ。コウガに言われたのだから、間違いないだろう。完全にやり過ぎたようだ。
「でも、僕としてはこれはかなりありがたいけどね。お父様もそう思ってますよね?」
「それは、まあ、、、そうだが……」
何だろうか?コウガの歯切れが悪いのだが。
もしかしたら、迷いの森の魔物の間引きを俺にして貰いたいけど、俺が冒険者として世界へ旅立ちたいっていう夢を持っていると話した事を考えているのだろうか。
先週話したばかりだったけど、意外にもマリーはすぐに賛成してくれた。コウガも学校が終わったら一度帰って来て、成人祝いをしてからならいいと言ってくれたので、俺は結構安心していたのだが。
まあ、前から何か事情があるようだから、聞かない事にした。
それよりも……
「話に夢中になってましたね。もう夕食にしませんか?」
時間は19時を過ぎている。かなり話し込んでいたようだ。
急いでマリーとミランダが作ってくれるそうだ。
俺も手伝いを名乗り出たのだが、即座に断られてしまった。
どうやら俺に料理の才能は皆無だったようだな。昔1回手伝っただけで、その時にちょっとミスした以来、手伝いを断られるようになったのだ。
俺に出来るのは電子レンジでチンするか、お湯を入れて3分待つ事ぐらいなんだ。ごめんね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます