10歳の誕生日

 俺は今、非常に気分が良い。浮かれていると言ってもいいぐらいに。なぜならば……


「リオンちゃん」


「「「「誕生日おめでとう((ございます))」」」」


「ありがとうございます」


 そう、今日は1月15日の俺の10歳の誕生日……だから気分が良いわけではない。

 もちろん誕生日をお祝いして貰っているのは、すごく嬉しいが、俺がここまで気分がいいのには別の理由があるのだ。

 何と、昨日、一昨日と連続で魔法のオーブを手に入れたからなのです。

 風魔法のオーブLV1と光魔法のオーブLV1、どちらも使えそうな魔法だ。いや、魔法はどれも使えるものだろう。

 これはダンジョンから、早めの誕生日プレゼントに違いない。(これは間違い)


 そして、今は朝食をとろうと食堂に入ったら、このようなプチサプライズをして貰っているところだ。机の上には、いつもより少し豪華な料理が並んでいる。

 前世でもこのようなサプライズはして貰ったことがなかったので、地味に感動してしまっている。


「リオンちゃん、早速ご馳走を食べましょう。今日の為にママとミラでたくさん作ったのよ」


「ありがとうございます。すごく豪華ですね。温かい内にみんなで一緒に食べましょう」


 様々な食事が机には並べてある。その中で一際目立つのはいくつもに切られたジューシーな肉だ。朝からちょっと重そうだなと思ったが、味付けは意外とさっぱりしていた。朝食仕様だそうだ。普通に前世のステーキ屋で食べた肉と同じぐらい美味しい。

 一つ一つはいつもぐらいの量だが、今日は種類が多い為に食後はかなりお腹が膨れた。そして心も同時に満たされた感じだ。とても満足した朝食だった。

 食後のティータイムで俺はいつもの紅茶を飲みながら、


「今日の朝食もすごくおいしかったです。いつも以上でした。ありがとうございます。それで……少し休憩したらダンジョンに行ってきますね」


 今日は俺の誕生日だが、それでもダンジョンに行きたいのだ。止められるだろうと思って言ったのだが、予想外の言葉が返ってきた。


「今日もダンジョンに行くのか?まあ、行くとは思っていたが、あまり遅くなるなよ」


「本当にダンジョンが好きなのね。リオンちゃん、今日ぐらい早く帰って来てね」


 何と今日も俺がダンジョンへ行くことを予想していたようだ。嬉しい誤算だ。ただマリーからのお願いは素直に聞いて、いつもより早く帰ろうと思う。

 少しゆっくりしてから、お言葉に甘えてダンジョンへと向かった。


 ダンジョンへ入り、最初のイモムーに俺は水魔法のダイヤモンドダストを放つ。

 大量の氷の結晶がイモムーを襲う。さらに広範囲に結晶が舞っている。すごく綺麗だ。

 イモムーはあっという間に光の粒子になって消え去った。

 ダイヤモンドダストは水魔法レベル8の魔法だ。

 ようやくここまで上がったが、この先はもっと大変だと思う。鑑定結果を見てみるとよく分かる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

水魔法:水属性の魔法を操ることが出来る

 LV1:〈ウォーターボール〉を覚える 魔力+5 魔力消費2

 LV2:〈ウォーターウォール〉を覚える 精神力+5 魔力消費2

 LV3:〈ウォーターアロー〉を覚える 魔力+5 魔力消費3

 LV4:〈アクアバレット〉を覚える 抵抗力+5 魔力消費5

 LV5:〈タイダルウェーブ〉を覚える 魔力+5 魔力消費8

 LV6:〈アイスランス〉を覚える 精神力+5 魔力消費6

 LV7:〈ブリザード〉を覚える 魔力+5 魔力消費12

 LV8:〈ダイヤモンドダスト〉を覚える 抵抗力+5 魔力消費15

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 お分かり頂けただろうか?

 ここ最近の魔力消費が尋常じゃないほど多いのだ。

 今までは一日中魔法を使っても自然回復で何とか上手いことやっていけたが、今は途中で魔力切れに陥るのだ。

 それと水魔法なのにレベル6からは氷魔法を覚えている。水魔法と氷魔法の混合のようだ。

 それよりもスキルに比べて魔法は覚えにくく、レベルも上がりにくい感じだ。


 ちなみに周回で魔力が無くなった時は、短剣で戦闘訓練を行なっている。魔力回復が目的なので、スキルは使わずに短剣の練習だ。

 それから帰ってから寝る前までの魔力自然回復を短剣術のレベル上げに使っているので、それなりに短剣術は上がっている。

 短剣術を鑑定するとこうだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

短剣術:短剣の扱いが上手くなる

 LV1:〈アサシネイト〉を覚える 魔力消費2

 LV2:急所へのダメージが少し上がる 敏捷力+5

 LV3:〈シャドーエッジ〉を覚える 魔力消費3

 LV4:短剣を所持している時、少し動きが良くなる 敏捷力+5

 LV5:〈フォースダガー〉を覚える 魔力消費5

 LV6:急所へのダメージが上がる 敏捷力+5

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 魔法でゴブリンキングと戦ってた時はユルゲーと化していたが、短剣で戦闘するとかなり緊張感が出てくる。

 剣の時と違い、短剣での戦闘は回避に専念して隙を見つけて短剣で斬りつける感じで戦っている。

 それがかなり緊張感があり、最近ようやくコツを掴んできた感じだ。体術での攻撃も今はしていない。


 あとはホストンさんに短剣以外の鉄の武器、槍と斧を作って貰い、今は槌を作って貰っている最中である。

 スキルはレベル1で覚えたての状態だ。昨日と一昨日手に入れた魔法のオーブの風魔法と光魔法も同様にレベル1にしてある。

 これらは水魔法と短剣術が順番にスキルマ(スキルのレベルMAX)になったら、次を上げていこうと考えているぞ。


 そして、銀箱から出た防具を新しく装備している。鑑定で見てみよう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

防具名称:スピードベルト

状態:普通品質

価値:Eランク

特殊効果:なし

詳細:敏捷力が少し上がるベルト。とても軽い。耐久力+5、敏捷力+10

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 これは腰の防具装備だな。

 このベルト、ズボンのベルト通しを使わなくても、上から巻く感じに当てるだけでいいのが、面白い。


 ただ、まだ宝箱から武器も出たことないし、鎧や盾も出てこないのでこの辺りで出てきて欲しいと思っている。


「さーて、魔力なくなるまでは水魔法のレベリングを張り切りますか」


 こうして俺は魔力が切れるまで、ダンジョン周回でダイヤモンドダストを使い続けるのだった。


 周回6周目にゴブリンキングを倒し、宝箱を確認しに行くとこれまでとは違った宝箱があった。

 それは今までとは輝きが違い、今まで一度として出てこなかった金色の宝箱がそこにはあったのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る