第一章 幼少期 スキル習得編(生活魔法)

ステータスは見れなかった

 転生して1ヶ月程がたったある日。


「リオンちゃん、ママですよー」


「あぁぁうぅぁぁ」


「やだ、かわいい」


 どうやら、俺の名前はリオンというらしい。1ヶ月も経つと、少しだが見たり聞いたり出来る様になっていた。


 今、俺に話しかけている女性が母親であるマリー。肩まで伸ばした金髪に碧眼。スタイルはかなりいい。顔は幼さが少し残っているが美人顔だ。年は20歳ぐらいだろうか。


「わあ、ゆびつかんだよ」


「あぅ」


 こっちは兄のアルスだ。何と髪が真っ赤だったのだ。これは異世界きちゃったんじゃない。心の中で『ヤッフー』と叫びながら、盛大にファンファーレが聞こえたね。



 この1ヶ月で色々なことが分かった。まず家族は父、母、兄、俺の4人家族で、さらに執事とメイドを雇っているようだ。


 他には、家の中には家電製品は見られないが触るだけで光が灯るランタンみたいなものや、触るだけで水が出る蛇口みたいなものも見られて、ここはファンタジー異世界だと思えた。ランタンとか魔道具に見えるしね。


 俺はファンタジー世界にすごく憧れている。なので、もし魔法が使えるのであれば、幼少期から鍛えて魔力量を増やして、俺つえーのテンプレがしたい。


 とはいえ、今の状況で何か出来るかと言われると何も出来ないので、ただただ家族になされるがままという感じだ。


 





 転生してから1年が経過した。


 俺はよちよちとだが歩けるようになった。そして少しだが喋ることが出来た。近くに誰もいない事を確認して、



「すてーたす」「すてーたすおーぷん」「めにゅー」「うぃんどう」「こんとろーる」「ぷろぱてぃ」etc……



 残念なことに目の前には何も現れない……いや、それが普通だよ……分かっているよ……でもさ、ステータスウィンドウ的なもの出てくると思うじゃん。


 判明した当時は愕然としたが、今はそうでもないのだ。なぜなら、この世界に魔法が存在することが分かったからである。


 そう、魔法だ!魔法がこの世界では使えるのだ!またしても盛大にファンファーレが聞こえたよ。


 とはいえ、魔法の使い方は分からないので、何となく魔力を感じるところからやっているのだが、これがなかなか成果がなく、魔法を使える気配すらしない状況なのである。


 とりあえず今は魔法よりも先に身体を少しでも動かせるようにすることを優先するとしよう。魔法はもっと上手く話せるようになった時に、家族からきちんと聞くことにしようかな。


 そうして、誰も見ていない時には、ひたすら歩ける距離を多くする為によちよち頑張っている。そこそこ歩けるようになった頃には、転ぶこともほとんどなくなっていた。この調子で走れるように、頑張るとしますか。

 

 

 

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