神様のから騒ぎ

夢水 四季

井戸端会議

嫌な予感は的中するものだ。

「それで私の旦那さまったら……」

「いやあねえ、うちなんて……」

 俺は奥様方の遠方に井戸端会議をする奥様方を発見し、大きく回れ右をしようとした。

「そういえば聞きました? 消えた大仏様のお話?」

「ええ、何ですの、それ」

「あれなさったの私の旦那さまですのよ。私への贈り物ですって」

「ええ、まあ、それは」

「お陰で下界は大混乱ですわ」 

 マジかー、あれニュースでもけっこう話題になってたぞ。オカルト評論家が今度特番やるってさ。もう俺らが出しゃばる時代じゃないってのに。

「あっ、オオクニヌシさまー」

 急に名前を呼ばれ、びくりとしながら振り向く。

「おい、ウサギ、静かにしろ」 

 俺は小声で静かにするよう促すが、バカなウサギはぴょこぴょこ跳ねているだけだった。

「あら、あそこにおわしますのはオオクニヌシ様?」

「げっ」

 俺はダッシュで逃げ出す。

 

 世間では神無月とか呼ばれているこの頃。

 出雲の地では「神在月」。日本中から神々が集まってくる。

 

 俺は過去の節操ない自分を呪いながら逃げまくるのであった。




                                   終わり


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神様のから騒ぎ 夢水 四季 @shiki-yumemizu

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