第5話 仲裁

 純介はまたまた電車に乗って本社に移動する。同じアナウンスを見た。

 ー午後3時、面会室ー

 栄「え?本当に俺らでグループ組むんですか!そもそも顔見知りですらないんですけど!」

 社長「だから、メールでそう伝えたじゃないかぁ、君たち8人でグループを組んでこれから活動していってほしい」

 栄「8人って...今ここに7人しかいませんよ?」

 社長「あと1人は遅れてくるって。このあとのミーティングにはくるから大丈夫だよ」

 智恵「とにかく、私は嫌です。一人でも十分稼げてます。今からグループになる必要なんてないと思いますよ?」

 健吾「俺もそう思います、それに、一人ひとり目指してるところが違うじゃないですか。俺は自分のやりたいことをやりたいです」

 社長「いや、別にこの提案は拒否してくれても構わないんだよ?だけどね、拒否したらこの会社との契約を切らせてもらうからね?それでもいいなら拒否していいんだよ?」

 美緒「それ、強引すぎませんか?いくら社長っていっても権力乱用していいわけじゃないんですよ」

 梨央「そうですよ!」

 社長「そんなこと言われてもなぁ、呼ばれた8人の中でほとんどの人が伸び悩んでる!」

 稜「伸び悩んでるって。事実ですけど流石にひどすぎません?」

 社長「あぁ、確かにそうだな。申し訳ない」

 健吾「本当に思ってますか?」

 美緒「そうですよ!軽すぎます!しっかり謝ってください!」

 純介「まぁ、怒らずにさ?話、聞いてみようぜ?」

 社長「それじゃ、提案というかね、相談があるんだよ」

 健吾「なんですか?」

 社長「7月中にMVを作って欲しいんだよ。音楽、映像まで全部含めてね!」

 栄「は!?今日何日かわかってます!?」

 社長「今日は...7月1日だろう?」

 栄「そういうことじゃないです!会ったばかりの俺らで!1ヶ月でMV作るなんて無理ですよ!」

 健吾「俺も流石に無理あると思います」

 梨央「1ヶ月って…時間が短すぎます。やるからには全力で完成度の高いものを作りたいです」

 美緒「私も。配信者としてのプライドが許さないわ」

 社長「あーはいはいわかったからー、とりあえずやってみて?」

 智恵「なんですかこのテキトーな感じ。私達はあなたの下僕ではないんですよ!」

 純介「はいはい。そんなに怒らないの!」

 智恵「なっ...あなたは犬に成り下がってもいいんでしょうけど、私は会社の犬には成りたくないの!」

 純介「なっ...そんな言い方はないだろ?」

 智恵「あんた、あれでしょ?親が凄いからって調子乗ってんでしょ?」

 純介「調子なんか乗ってない...乗っていないよ...」

 智恵「嘘つかないで!私は会社を辞めるわ!こんな契約ならやめてやる!」

 智恵、部屋を出ていく。

 社長「あぁ...残念だな...辞めてしまったか...」

 ***

 グルグルグルグル。視界が回る。頭がキンキンと痛くなる。そして、少しの喪失感があり。

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