第16話 遺跡
***
惑星グレイ シアー共和国跡地
「うっ、やっぱり慣れませんね。エナジー転送って」
「心配いらないわ、着陸船で程度の良い墜落を体験するわけじゃないんだから。
そうね、毎回転送の度に参られても困るからポイントを二つだけ説明するわね。試験に出るからしっかり頭に入れておくこと!」」
1
対象物の組成をスキャンして、エネルギーに変換し目標地点で再度物質に転換しているのよ。その時にウイルスや悪性腫瘍等を除去して正常な細胞に変換するので健康にとてもいいのよ。
2
昔は、地球と月の間(約三十八万km)を往復するのがやっとだったんだけどオーナーの特殊スキル、
具体的には既存の方法では、船のデータバンクに記録していた様々な情報を超光速
科学主任が眼鏡を輝かして、エナジー転送技術の解説初めてしまったにゃ。
吾輩は専属運び人であるサマンサがエナジー転送による惑星上陸に馴染めないと愚痴をこぼすのに付き合う上機嫌な科学主任という珍しい光景を興味深く眺めていた。
それにしても・・・・・・
いつの間にかご主人のスキルが科学の進歩に役立っていたことを知らなかったのは内緒にしておいた方がきっといいにゃ。
シアー共和国の首都ゾルーンがあった辺りで吾輩たち上陸班は調査を開始した。中心部は火星と木星の公転軌道の間に存在する
だが、ここに来るまでは草木も生えない砂漠のようだと思っていたが、樹木や草も生い茂り所によっては森まで形成され野生動物に関しては以前よりも多いようだった。
『船長、これより上陸班のモニタを開始します。
今のところ残留放射能は自然放射能と大差ありませんが、調査の過程で危険域まで急上昇する可能性がありますので十分注意してくださいね』
アルドが注意事項を思い出させてくれたにゃ。大事なことだから繰り返すのを邪険にすると後でとんでもないしっぺ返しを食らうものにゃ。ここは、黙って聞いておくのが正しい船長の在り方というものにゃ。
「了解にゃ。例の件で判ったことがあればすぐ知らせてくれにゃ」
『了解です。そのことなんですが船長、惑星ドルーンは文明レベルが後退しているようで情報を集めるのに苦労しそうですよ」
「船長、あの森に入って見ましょう。植物やできれば動物のサンプルも欲しいところね」
うちの科学主任、ネコさんがやる気出しているにゃ。
森の中に入ると綺麗な泉が湧きだしていた。幾種類もの草花が咲いており、兎などの小動物も水を飲んでいた。
「うわー、綺麗な泉ですね。あ、可愛い蝶々!」
サマンサが指に止まった青い宝石のような模様の蝶に嬉しそうに歓声を上げた。
「ふむ、良い環境だが固執するほどの何かは感じられないにゃ」
「そうね、土壌、水等の残留放射能を測定しましたがこの惑星の標準値と差がないわね。一応船にサンプルを持ち帰って測定はしてみるけれど」
ネコさんが、測定結果に太鼓判を押したにゃ。
「あ、じゃあ単純に故郷に帰りたいだけとか。先祖代々の土地とかって愛着ありますよね」
ふむ、故郷を追われたサマンサとしては望郷の念説を推してるみたいにゃ。
『船長、その泉の中に高密度の物体を検知しました。手掛かりかも知れません』
『我が君、魔導で泉の水を動かしなさい。それくらいちゃんと覚えているでしょうね!』
アルド、余計なことを・・・・・・
「も、もちろん覚えているにゃ・・・・・・」
モニタに映るビスクドール、魔人アスタロトの顔が怖いにゃ。
うーん。我が魔導は五行の精を使役し、万能とす。久しぶりにゃ、ええと水を動かすのならどうだったかにゃ?
「水の
泉の水が渦を巻き、やがて風を呼び中空に竜巻が出現し泉の水を吸い上げ百メートルほど離れた場所に勢い良く注がれ新たな池が出現した。
泉の水が干上がると、一体の像が現れた。その像は一頭の獣、金属の光沢を放つ白と黒に彩色された熊、いや緑の笹を咥えたパンダであった。
ふーむ。泉に隠されたパンダの遺跡、まさかこれが狙いなのか?
「船長、ご苦労様。とりあえず、その像は回収して調査しましょう。じゃあ、また泉の水は戻しといてね。あまり、使わないと魔導の腕が鈍るわよ。
それと、水の精を使う必要はなかったわね」
ぐは、ダメ出しされたにゃ。これは戻ったら魔導では師匠のアスタロトに何か言われるかもにゃ?
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