第18話 あの日の選択
それから2カ月がたった。
「大切な話があるんだけどさ、」
昼休み突然優雨ちゃんに呼ばれて、誰も来ない裏庭に呼び出された。
「あのさ…言いにくいんだけど...」
「...え、何?早く言いなよ!」
「りあ翔くんのことまだ好き?」
心臓がドクドクと波打つ。嫌な予感がした。
「うん。」
「翔くん彼女いるみたい。」
やっぱり。
心の準備はしていたはずなのに思考が停止した。
「そっか。教えてくれてありがと。でも、優雨ちゃん。
私さ、わがままかも知れないけど気持ち伝えたい。」
「うん。りあのことずっと応援してる!頑張っておいで。」
振られるってわかってて告白するなんて馬鹿かもしれない。
でも、優雨ちゃんは笑顔で本気で背中を押してくれて。
放課後、思い切って大好きな人にメールをした。
「話したいことあるんだけど、少し時間いい?」
メッセージ一件:瀬戸内
「わかった。30分後にかけて。」
困らせちゃうかもしれないけど、はっきり伝えたい。
約束通り30分たって電話をかけた。呼び出し音が鼓動と重なる。
「もしもし。」
電話越しに聞く大好きな声。
「急にごめんね。私さ…」
「翔くんのことずっと前から好きです。」
1年間ずっと抑え込んできた言葉。
「…ありがとう。りあが俺のこと好きなんて気付かなかった。友達だと思ってて...」
「もっとはっきり言ってよ!その方がすっきりするじゃん。」
「俺、彼女いるから、ごめんな。」
予想通りの結末。
「聞いてくれてありがとう!すっきりした!」
涙も体の震えも必死にこらえているのに、
どこまで強がりなのかな私。
「ごめんね。またね。」
終わった。どんなに我慢しても体は正直だ。電話が切れた瞬間大粒の涙が溢れた。
すぐに優雨ちゃんに報告した。
「私、頑張ったよ…」
「そっか。りあいい人好きになったよ本当に。頑張ったね。」
泣きながら歩いて帰った。散々泣いて枯れ果てたはずの涙が、
ベッドに潜るとまた溢れ出した。
ねぇもし、あの日私が隼人に逃げたりしなかったらこの恋は叶ってた?
少しは今と違う結末になってた?
戻せるものなら。
次はちゃんと気持ち伝えるから。誤魔化さないから。寄り道なんて絶対しないから。
だからお願い神様。時間を戻してください。
次の日の放課後、翔くんが彼女と一緒に帰っていくところを見かけた。
色白で穏やかで、スタイルもよくて大人びている。セミロングのきれいなサラサラの髪。お似合いの2人。
なんだ、私最初からダメだったんだ。
私がどんなに努力しても相手にならなかったんだ。
全部消そう。連絡先も写真も。
でもどんなにメモリーを消したって、翔くんとの思い出はもう頭の中に心に刻み込まれてる。数えきれないくらい見返したもん。
何より大好きな人の言葉も仕草も一生忘れられるはずがない。
私の大好きな人は世界で一番幸せな夢を見せてくれた。
たった17歳の私に「本当の恋」を教えてくれた。
沢山の喜びも…悲しみも…
多分さ、これからもりあの1番好きな人は翔くんだけ。
生まれ変わっても、
たとえ同じ結末だとしても
私はもう一度あなたに恋がしたい。
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