第15話 爆発
テストが終わって少し経った頃、
「りあが花菜ちゃんをいじめてる」
また意味の分からない噂が立ち始めた。は?私勉強で忙しかったんだけど。
ここまで明らかに敵視されると、流石にムカついてきた。
その日、隼人から電話があった。初めて聞く隼人の怒った声。
内容は花菜ちゃんのことだった。
「花菜のこと勝手に広めないでくれる?
花菜がどんだけ嫌な思いしてるかわかってる?俺と花菜はただの友達だから…」
なんで私が怒られないといけないの?ショックで隼人の声が聞こえない。
今熱くなっちゃダメ。絶対キレたらダメ。
多分私止まらなくなっちゃう。
深呼吸してなるべく落ち着いて答えようとした。
「俺の彼女はりあだから。」
隼人は小さい声でそう呟いてた気がする。この時、落ち着いてたらよかったかな。
でも怒りでいっぱいの私には何も響かなかった。
とうとう、私の中で張りつめていた糸がプツンと切れた気がした。
やっぱり黙って聞いてられるほど私はいい子じゃない。
「は?お前マジで黙っとけ。口出しすんな。今から花菜ちゃんと直接話すから。」
言っちゃった。
葉月ちゃんに連絡すると、花菜ちゃんと二人は無理だけど、葉月ちゃんを含めて3人なら話してもいいといわれた。
2人でなんて卑怯だと思ったけど、そんなことどうでもいい。直接聞きたい。
正直ショックだった。花菜ちゃんとはそんなに仲いいわけじゃないけど、すれ違ったときに笑顔で手を振ってくれたりするのが嬉しくて、私は"友達"だと思ってたから。
すぐに葉月ちゃんから電話がかかってきた。
「もしもし。」
少し沈黙が続いて、私から話を切り出した。
「花菜ちゃんと葉月ちゃんだよね?ごめんね時間取っちゃって。
あのさ、私なんかした?」
シーンと静まりかえる。少し時間を空けて、
「うん。りあちゃんと隼人がどうとか私に関係ないんだよね。私の邪魔しないで。」
花菜ちゃんが小さな声でつぶやいた。
今なんて言った?頭が真っ白になった。
花菜ちゃんは私と隼人の関係を知っていたんだ。だったらなんで?
「噂流したのっ花菜ちゃん?なんで、嫌いだった?」
何よりも傷ついたのは好きだった、少なくとも友達だと思ってた子に言われたから。
「私何も悪くない。りあちゃんに何も言われる筋合いない。私と隼人が何してもりあちゃんには関係ないでしょ。元々は私の友達なんだから。あと、勝手に色々決めつけないで?」
ちょっと待って。私、花菜ちゃんのこと何も決めつけてない。
花菜ちゃんの言い分を聞くと、隼人のこと好きなのか友達に聞かれたことを、私が嫉妬で勝手に花菜ちゃんが隼人のことを好きだと決めつけたと誤解してた。
でも、私は
「二人いい感じだよね!」
って話は聞いたけど、それを言ったのは私じゃないし、花菜ちゃんが隼人を好きだなんて噂流してない。ほんとに頭が混乱する。でも、花菜ちゃんだって勝手な思い込みで私の噂を流していい理由になんてならない。好きな人を勝手に決めつけられて嫌な気持ちになるのはわかる。
私だってそう。でも、こんなやり方は間違ってる。
私だって、デマを流されるのは嫌。
「わかった。話してくれてありがと。でもさ、始めから直接話してほしかったな。」
「うん。私もひどいことしてごめんね。ありがとう。」
花菜ちゃんも葉月ちゃんも謝ってくれた。
「私も勘違いさせてごめんね。」
私も花菜ちゃんの気持ち考えてなかったな。自分のことばかりでいっぱいだった。
冷静に考えると彼女に好きなの?なんて言われたとしたら、いい気持ちはしないもんね。誤解だったけど…
「あのね、りあちゃん!これからも仲良くしてほしいな。」
そんなこと言ってくれるなんて少し恥ずかしかったけど嬉しかった。
仲直りした後、隼人の話題で盛り上がった。私の知らない隼人のとこも花菜ちゃんはたくさん知ってて隼人が友達だっていってた理由も少し分かった気がした。
あとは、隼人と話し合わなきゃ。逃げてちゃダメ。
もうそろそろ私達限界だよね。
ねぇ、隼人気づいてるでしょ?
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