第6話 理想の彼女

夏休みに入った。

夏期講座が終わると、隼人くんとは 1 度も会うことはなく、もうすぐ2週間が過ぎようとしていた。

来週は1カ月記念日がある。会いたいな。

たった1週間とちょっと会ってないだけのはずなのに、すごく長く感じた。

一週間ってこんなに長かったっけ。

相変わらず、隼人くんから連絡が来ることはない。

あ、そうだ。会わない間に可愛くなって隼人くんを驚かせよう。

隼人くんの期待に応えたい。

その日から早速、ダイエットを始めた。

今まで、気にすることなく食べていたお菓子もジュースも我慢して、ご飯もバランスのいい食事にして、お腹いっぱいたべるのもやめた。

ちょっときついけど、でも大丈夫。

絶対可愛くなるんだもん。

今は我慢しなきゃ。

なんだか勢いがついた私は沢山ネットで検索して、部活以外でも、こっそり筋トレマッサージも始めた。

ダイエット作戦から5 日が経っていた。

三日坊主の私が初めて続けられた。

まだ、あまり成果は見えないけど。

明日は1カ月記念日だ。はやく、隼人くんに会いたい。

『隼人くん。明日空いてる?』

『空いてるよ。』

隼人くんいつも忙しそうなのに空いてるんだ。嬉しい。

『え、やった!どこか遊びに行かない?』

―ピコン

少し時間が経って、携帯が鳴った。

『最近さ、感染症流行ってるから今度にしよ。』

え?

どうしてかわからないけど、少し泣きそうになった。

わかってる。仕方ないよね、感染症は危ないし。隼人くんは何も間違ったこと言ってない。

浮かれすぎてたな私。

『そうだね!今度にしよ!』

窓の隙間から通る風がいつもより冷たく感じた。

…もうこんな時間。

布団に入って、目を閉じると一瞬翔くんの顔が浮かんだ気がした。

隼人くん…

隼人くんはさ、りあのことどう思ってる?

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