第2話 片思い
6月に入り、インターハイが近づいていたある日。
期末試験も終わって、私は部活に明け暮れていた。
「あー、私の華のJKライフはどこにいっちゃったの ―!!」
部活が終わって、一緒に帰る菜摘ちゃんに泣きついた。
菜摘ちゃんは 1 年生の時クラスが一緒で私をバレー部に誘ってくれた私の親友。いつも穏やかでニコニコで、天然で面白い。私と性格は真逆だけど一緒にいると楽しくて落ち着く。
「そーだよね。1 学期行事もまともになかったし。」
「だよね、だよね!私の白馬の王子様はいつむかえにきてくれるのかな―?」
「ふふふ。そろそろかな―?」
毎日同じ話題、変わらない同じ日常。
翌日の朝。いつも通り席について教科書を広げると、目の前ではいつも元気で誰とでも仲いいムードメーカーの葉月ちゃんとその隣に座っている隼人くんが楽しそうにおしゃべりしていた。
隼人君は、私と同じバレー部で、絶対的エースだ。私の学校は部活の時間がすごく短くて、体育館も小さいから練習は男女合同でやっていて、いつも見るたびにすごいかっこいいなって思う。教室では全然目立たないのに、コートの中に入ると、誰よりも高く飛んで誰よりも走ってボールを追いかけていて、そのギャップに惹かれる。
隼人くんは女の子とほとんど話さない。私は、葉月ちゃんと話しているところしか見たことはない。葉月ちゃんと、隼人くんは1年生の時からクラスが同じで仲良くなったらしい。私は勇気を振り絞って、二人に話しかけてみた。
「葉月ちゃん!隼人くん!おはよっ!!あ、隼人くん今週のバレーの大会どうだった?」
「…」
あ、やっぱり。隼人くん首を少しかしげただけで、話してはくれなかった。
でも!これから仲良くなればいいもんね。
放課後。
SHR が終わると、帰宅部の子と塾がある子は真っ先に教室を出ていく。
私は今日も部活。鞄に教科書を詰めていると、隼人くんと翔くんが話しているのが目に入った。二人は頭もよく、スポーツもできてかっこよくて、高嶺の花。私のクラスが誇る2大モテ男。
「りあー。部活行こうよ!」
「はーい!ちょっとまってて!」
今日も心優と菜摘ちゃんに呼ばれて、私は部活に向かった。
君と友達以上になれる日が来るかな?隣で同じ景色を見れる日がくるかな?
教室を出て少し振り返った。太陽の日差しが翔くんにあたって輝いていた。
「またね」
教室で隼人くんたちの大きな輪の中心で楽しそうに話している翔くんを見ながら、小さく呟いた。この時は、ただただ単純に翔くんが好きで、翔くんしか見えてなかった。
部活を終えて菜摘ちゃんと心優と帰ろうとすると、翔くんたちバスケ部が目の前を歩いていた。身長 180 ㎝ぐらいある翔くんはどこにいてもすぐに見つけられる。
無邪気に笑う彼の姿を見て思った。…やっぱりかっこいい。
一目惚れなんて信じてなかった。そんなのありえないと思ってた。
でも近いようで遠い君の後ろ姿をこの 2 か月追いかけ続けてきてわかったよ。
私はやっぱりあなたが好き。
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