不思議な関係

三愛紫月

38歳の私

私、佐浜六花さはまりっかは、結婚する前から足が悪く、杖がないと長時間歩くのも難しい状態である。


結婚してからは、さらに悪化をし左足には、装具をつけている。


よく、昔はライブとか行ったのになぁー。演劇も行ったのになぁー。


ニュースの映像を見ながら思っていた。


「おはよう。」ボサボサ頭に黒淵メガネ、こんな私を全部受け止めてくれたのは佐浜勇作さはまゆうさくだ。


「あっ、りーちゃんが好きな芹沢龍せりざわりゅうでてきたよ。」


朝御飯を持ってきた私に言う。


「ほんとだぁー。かっこいいな」


「舞台やるんだね?チケットとってみたら?」


「無理無理、この足じゃしんどいから」


「そうなの?」そう言ってご飯を食べてる。


芹沢龍を好きになったのは、勇作と喧嘩して心が折れた音がした日だった。   


元々、足が原因で妊娠はしないのであろうと思っていたけれど。治療をしてみる事に…。


8年前何とか成功するも流産した。


落ち込んだけど、欲しかった私はタイミング療法と排卵誘発剤だけを使った治療は続けた。


そしたら、突然血圧が200まで上がり治療を断念する事になった。


そして、一年前のあの日一生懸命頑張ってるつもりだった私に勇作は頑張ってないと言い放った。


心がパリパリと割れた。


涙が止まらなくて、大好きな曲を聞いても復活する事が出来なかった。


そんな時、たまたま芹沢龍の歌っている動画を見た。


元々ドラマや映画では知っていたが全く興味が沸かなかった。


心が元にもどらないから、イケメンでも見て癒されようと思った。


ポチッと押した。


♪その存在が僕に勇気をくれたんだ♪君に出会わなければ僕は♪


芹沢龍の歌声に、心が壊れるのをとめた。


スゴイ


そして、何度も何度もリピートした。


どんどん、どんどん直っていった。


カチッ、元通りではないけれど


ちゃんとハマった。


もう少し頑張ってみる。


妊活も結婚も


そう思っての今である。


「この近くの舞台もくるよ!チケットとってみなよ。」


しつこく言われる。


「いいよー。とれても行くの大変だから」


「来週だよ!チケットとるの。忘れちゃダメだよ」


「はいはい。」


「じゃあ、行ってきまーす」


勇作は、仕事に行った。


子なしで、結婚10年かぁー。


何か、望んでた未来と違ってるな


そう思いながら、片付けをしていたら


♪タンタンターン♪


「もしもし」従姉妹のちえちゃんだった。


「もしもし、来週月曜日ひま?」


「何で?」


「jewelって歌手のlive、娘が行くつもりでチケット一枚とってたんだけど、行けなくなってしまって」


「ひまは、ひまだけど」


「じゃあ、チケット送るから」


そう言って電話は切れた。


嫌、行くなんて言ってないし。


はぁー、嫌だな。


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