第2話 2年後
「またこの季節かー。だりー。あちー。つらーい。思い出したくなーい。この気持ちかーえーれ!かーえーれ!かーえーで!」
「ったくうるせーぞセミ!heyhey♪鳴くなら外day♪今すぐget away♪張り付いてろ壁やhey(塀)♪」
「お前こそうるせーyo!てかうめーな。はぁ…だってyoー…あの、えっと、えっと…だってばyoー…」
「いや下手か。いーかもうあれから2年だぞ?高1だぞ?華の高校生よ?むしろ高校性よ?前を向かなきゃ始まんないってばyo!」
「そっかー。高校性かぁ…だよな、性績優秀な性徒会長と学性食堂で性春しちゃうっかぁ!…よし!」
「…って生徒会長男だけどな。あと食堂でナニすんの?!」
そう、高志(同じ高校に通う小学校からの親友。あ、同じクラスでもある。)も言う通りあの一週間の恋人と離れて2年の月日が経っていた。
楓ちゃん…元気かな?当時スマホも持っていなかった僕達には連絡手段がなく、何度か手紙をやり取りしたがなんせ宛先がパリとなっており、最終的には宛先不在で戻ってきてしまった。それが中3の春の事だったのでその後の詳細は分からない。
たった一週間の恋だったけれど、僕達の中では中学生なりに一生を掛けたような感覚の物だったから、この季節になるとどーもやるせない。
ここが放課後の廊下で、明日から夏休みというタイミング的にもなんだか、ね。
それなりに月日も経っているし、学校にも慣れて今が楽しくない訳でもないので、ちょいとセンチ君が顔を出しただけでさして問題はないんだけどさ。
ちなみに、高校生になってもセミというあだ名は変わっていない。
まぁ主に高志のせいなんだけど。
そんな軽薄かつ無神経で下品な親友といつものように中身スッカスカな会話をしていると、キャッピキャピしながら二人の女生徒が駆け寄ってくる。
二人共同じクラスで一人は美咲、少しギャルいけどノリがよくてかわいいので男女問わず人気がある。
もう一人は友紀ちゃん。ゆるふわ系でお胸もたわわ。イジられ気味だがこちらもノリがよくてかわいいのでみんな大好き。
今日は終業式とHRだけなので、午後から4人で遊びに行く予定である。
「二人ともおまたせー!てかセーミー!今日がセミのあだ名記念日なんでしょ?今日は私の歌声で慰めてあげるからさ、早く行ってデュエろ!」
「いやいや、記念日じゃないから(正確には一週間後だから)、てかさ、僕は美咲と何回扉開けなきゃなんないの?もうメンドイから扉閉めんな。」
「えー私は二人の『お扉開けて』好きだから楽しみなんだけどなぁー」
「だよねー友紀!これは鉄板なんだよセミ!鉄、いや恋の扉を今日も二人で開けよーね♪」
「友紀ちゃんと開けたい。」
「浮気すんなし。」
「え、開けちゃう?二人で開けちゃう?」
「うん。ありのままの姿で。」
「いやん、そんなの生まれてはじめて♡」
「どんだけ詰め込むん。」
「友紀だるまつく…ってこれはちょっと意味分かんないな。」
「おしいな。」
「てか浮気すんなし。」
高志の冷静な評価と、美咲のマジトーンなツッコミをありがたく頂戴した後、僕、高志、美咲、友紀の4人は駅前のファミレスで昼食を食べ、そのままカラオケで3時間程遊び(結局扉は2回開けた。美咲と。)、喫茶店で夏休み中に行くプールの計画や、夏祭り、水着選びの日程等を話し合った後に解散した。
高志を除く2人の女子は、最初に席が近かったおかげで、入学後の早い段階で仲良くなり、廃部寸前の文化交流部という何をするか今一分からない部活に揃って入り、放課後は部室でダベったりゲー厶したりと真面目に?文化交流?に勤しんでいた。
ちなみに、小・中まで続けたサッカーだったが、体験入部の際、部室がかなり臭かったので入らなかった。
高志も同じ理由である。
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