異動先はロジスティクス（最初で最後の異動と…）

第1話 最初で最後の異動（TXとは…）

「堀ちゃん、よく来たね～」

　会社の送迎用のバスに乗り込むと、すかさず知り合いから声がかかりました。

「今日からよろしくお願いします！」

　僕は元気よく挨拶しました。

　最初が肝心だからね。

「ＴＸがあってよかったね、なかったら堀ちゃん単身赴任だよ」

ＴＸ、ティーエックスと地元の人たちが呼ぶ鉄道があります。

ここはそのＴＸのとある駅です。

　ＴＸとはなんだと思います？

　最初に聞いたときには、なんかの恐竜の略かと思いましたが、本当はね、

「つくばエクスプレス」のことなのです。

　数年前に開業して、茨城のこのあたりは急遽ベッドタウンとなり、土地の値段もあがり、数々のモールや商業施設ができました。

　それまでは常磐線の取手駅にまず行き、

　取手に出るまでも大変ですけれど、

　そこから「関鉄」とこれまた地元で言われている、

　「関東鉄道常総線」に乗り、

　ある無人駅でおりて、

　さらに徒歩で２０分でした。

　そんな我が社の筑波倉庫は、ＴＸが通ったおかげで、もともとあった倉庫機能、パーツセンターにプラスして購買部、受注センターなど部署も取り込み、だいぶにぎやかになりました。

秋葉原から３０分ほどでこの茨城県まで来ますからね。

ここからの通勤もそうですが、東京からの通勤も可能となりました。

「これから毎日『ＴＸ』に乗るんだな…」

　嬉しかったですね。

　車窓を見れば、荒川、江戸川、利根川を超えていきます。

　東京、埼玉、千葉、そして茨城まで行きます。

　電車もすいているし、空は無茶苦茶広い…。

　ほんの少しの高台にでれば、筑波山は当然のこと、富士山も見えます。

　これが入社以来はじめての異動でした。

　まさか最初で最後の異動になるとはね、ＧＯＫ　

God only knows

本当に「神のみぞ知る」ということですね。