第38話

放課後は、保健室でお客さんを待つことにした。の、だが……

全く来ない!

なんでだろう?保健室だから?

図書館なら漫画があるから、そっちにみんな行ってるのかな?

わからない。

スマホでレイケン先生に相談する?

いやいやいやいや!

レイケン先生に言ってもなあ……

うーむ……

「求村くん、みんなには秘密だからね」

保健室の先生が高そうなお菓子を皿に乗せて紅茶と一緒に出してくれた。

「本当はこのお菓子、緑茶が合うんだけどねぇ。あえてここは紅茶にしてみたの」

透明なゼリーにさくらんぼが一つ丸々入っている。

「紅茶はストレートで飲んでみて!」

スプーンで透明な部分をすくい、口に運ぶ。濃厚なさくらんぼの味がして、とても甘酸っぱい。

紅茶も砂糖とミルクなしで飲んでみる。まろやかでえぐみがなく水みたいに飲める。

「先生!これなんですか?」

「え?和紅茶だよ。あと、源吉兆庵のゼリー」

「和紅茶?」

「簡単に言うと、国産の紅茶。すごく素直な味がするでしょう?」

「素直な味っていうのがわからないけど、ごくごくいけます!」

「それはよかったわ。うれしい。おかわりいる?」

「いいんですか!?」

「たくさんもらっちゃったからね。大丈夫よ」

「ありがとうございます」

1時間後

「先生ぇ〜‼︎‼︎トイレ!」

勢いよく立ち上がりトイレまで全力疾走し、ことなきを得た。

トイレをしていると……

「キャーーーー‼︎」

「?!」

野球部の男子生徒が女の子のような声を出した。

「うわ、ご、ごめん!大丈夫?ボク、男の子だよ!」

そうだ。忘れてた。女子の制服着てたんだ。ボク。

「なんだよ!男かよ!紛らわしいなあ。でも……お前可愛いな」

「え、えへへ。ありがとう」

「名前は?」

「モトムラヨウジ」

「ヨウジね。覚えとく」

「君は?」

「タイキ。カスミタイキだよ。」

「カスミくん。よろしくね。」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る