第22話性別逆転!?
当日。
何度も何度も街角のショーウィンドウや手鏡で自分をチェックする。
変じゃないかな。大丈夫かな?
でも、鏡の中やガラス扉の虚像越しに見える私の姿はどこか別の人みたい。
ああ、これがかわいい子が常に鏡を見ている現象か。
今日の予定は、ランジェリーショップで下着を見て、マックでハンバーガーを買って、持ち込みオッケーのカラオケにて昼食を食べつつフリータイムで歌ったり語ったりするというもの。
私の家は秘密の話がある時はカラオケでというルールがある。
そこできゅうちゃんについて分かり合えたらいいなと思う。
付き合うとかそういうのは置いといて、ちゃんときゅうちゃんを理解したい。
私はレズビアンなのに、男の子であるきゅうちゃんにどうしてこんなにも惹かれてしまったのかが気になる。
ただ外見が可愛らしいからとかだけではないと思う。
彼を(その時は女の子と思っていたけど)一目見た時から強烈な魅力を感じるとかは今までなかったことだし、きゅうちゃんが私のことが何で好きになったのかも知りたい。
エアミニをポケットから取り出て咥え、口淋しさを紛らわせるようにくゆらせる。
口いっぱいにトロピカルフルーツが香る。
「あー!いっけないんだ!路上タバコは違法だよー!」
と、言い、きゅうちゃんは指先に挟んだエアミニをひょいと取り上げ、一口吸う。
「これで共犯❤︎いけないねぇ、いけないねぇ」
「ちょっ……ちゅうちゃん!」
「えへへ。関節キッス〜」
「このコロナのご時世に何でそんなことすんのよ」
「えへ」
「じゃあ、行くよ」
「うん❤︎」
「今日のファッション、かっこいーね!」
「まあ、ね」
きゅうちゃんは黒のフリルがたっぷり付き首元にレースの大きなリボンがついたパフスリーブのシャツに、ハイウェストのコルセットに、スカートはピンクの生地に黒のリボンでウエストの横に二つ編み上げが入っている。パニエを何枚か重ねて丸いシルエットにしている。
黒のフリルとリボンがついた編み上げの皮の鞄にロッキンホースバレリーナを合わせている。
私は白のアシンメトリーのカットソー。赤チェックのネルシャツをタスキのように肩にかけ、黒のダメージデニムを重ねている。
カバンはサコッシュで、靴はスニーカー。
性別が逆転しているような2人の姿がショーウィンドウにうつる。
さりげなくきゅうちゃんが腕を組んできた。
「うふ。恋人みたいに腕組んで歩こうよ」
「まだ早い!」
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