第19話 あいつに渡してたまるか!
久しぶりに、あの子の夢を見た。
牡丹の浴衣の子。
もしかしたら妖精だったのかな?
あれ以来、あの子と出くわすことはない。
またね、とは言ってたけど、どういうことだったんだろう?
少しだけ、きゅうちゃんに似てた。
きゅうちゃんを思うと、胸がキュッと苦しくて、時折ポワッと暖かくなる。
ドキドキして、ここは地上なのに水の中にいる感覚になる。
どうしてこんな気持ちになるんだろう?
きゅうちゃんの姿が頭から離れない。
ストローに手を添える指先。
少し華奢な肩幅。
笑うたびにゆらゆら揺れる髪の毛。
パールピンクの薄い唇。
男なのに、どうしてこんな気持ちになるんだろう。
どうして、こんな気持ちになるんだろう?
バーのグループLINEに通知が来た。
きゅうちゃんだ。
「今月はきゅうのかわゆさ度向上月間のため、下着欲し〜い!どこかおすすめのメーカーさんあるー?」
きゅうちゃんが……下着……
白い素肌に薄ピンクのブラをつけたきゅうちゃんを想像してしまった。
下は……いやいや、そこは考えない。
グループLINEは大盛り上がりになっている。
きゅうちゃん、いつの間にやらみんなのアイドルじゃん。
「きゅう〜俺が下着選んでやるよ。すげーエロいやつ」
サトルさんがきゅうちゃんに返信してきた。
イラアアアアアッ!
こいつにはきゅうちゃんを絶対に渡さない!!
つい、きゅうちゃんのLINEに直接連絡してしまった。
「きゅうちゃん、私と一緒に下着買いに行く?」
しばらく反応がなく、昼過ぎになって連絡が来た。
「待ってたよ!いつにする?」
きゅうちゃん……!
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