第12話 モヤモヤ

「きゅうちゃん?」

思わず、声をかけてしまった。

「あ。月子ちゃん。うわ。偶然!」

手に持っていたものに気がついて焦った。

タロットカードとオラクルカード 持ってレジに立ってるなんて、側から見たら怪しい人じゃないか!

と、思ったが、きゅうちゃんが山のように買った本を見て唖然とする。

多分、3万円超えてる……よね?

チラッと見えた背表紙には、薔薇十字団とカバラ数秘術、仏教、古事記、日本書紀、ユング赤の書と書かれてあった。

意外と難しい本読むんだな。きゅうちゃん。

「あ、これ?仕事の合間に読もうかなって」

「そんな重そうな本、カバンに持って行くの邪魔じゃない?」

見たところ、3センチはあるぞ?その本。

「ああ、仕事は在宅だから、大丈夫! 心配してくれたの? 優しいね。ありがとう!」

「仕事は何してるの?」

「YouTuberと電話占い師」

「そうなんだ」

なんか、きゅうちゃんの勝手なイメージから、普通のおつとめ仕事は指定なさそうだなぁとは思うけど、それで生計立ててるのかな?

持ち物や服装は高そうなものを身につけているけど……

ロリータは普通に一式揃えたらとんでもない値段になるんだけど……

「あれ、私のこと、嫌いになった?」

なんでそんな思考になる?

「いるんだよねー、YouTuberとか、占い師してるってなると、途端に詐欺師呼ばわりする人」

「私、そんな酷いこと思わないよ」

「でも、一瞬私のことを怪しい人みたいな目で見たじゃない」

綺麗な顔がみるみるうちに歪む。

「それは……」

「いいよ別に。それでも。じゃね。バイバイ」

と言って、きゅうちゃんは帰ってしまった。



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