第1話
―生まれで全てが決まる。
努力や才能も、全て種族という壁の前には
塵に等しい。こんな世界は間違っている。
……そう考えるのは些か傲慢だろうか?
俺の名はローズル。姓は無い。それにこの名も本当の名ではない。
というのも、生まれてから一度も両親というべき存在に会ったことはない。長老が言うには、俺は捨て子らしい。洞穴で眠っていた赤ん坊の俺を、眷属が拾ってきたらしい。
「はぁ…」
「何じゃ、ため息なぞつきおって。何を悩んでおるのじゃ、ローズル?」
「いやさ、明らかに俺だけ人の姿してるけどこんなとこにいても良いのかなって。」
「なに、まだそんなことで悩んでおったのか?」
「そんなことって言っても結構大事なことだと思うよ?なんせこんな世界だし。」
「そんなこと誰も気にせんよ。そんなこと言ったら儂、喋る木だし。」
そうなのだ。なにぶん育ててもらっているため何も不思議に思わないが、長老は喋る木である。
閉じる者と終末 憂鬱 @yuutunioboreru
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